テキはどこだ

□I WISH
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「獄寺君、イブの日なんだけど・・・」
 昼休み直前になって登校してきた獄寺に、綱吉は恐る恐るパーティーの話を切り出した。二人きりが良かった、なんて言われて泣かれたらどうしようかと内心冷や汗ものだったのだ。

 それなのに。
「10代目、ありがとうございます!オレ、嬉しいっす!!」
「いや、あの、そんな泣かなくても・・・・って、抱きつかないでぇ〜っ」
 ぎゅうぎゅうと綱吉を抱きしめながら獄寺は嬉しくてふるふるしていた。
「オレ、10代目はお母様と過ごされるかと思ってましたので。一緒に過ごせるなんて夢のようっス」
 獄寺が力任せに抱きしめてくるせいで軽く呼吸困難に陥りながら、綱吉は、ああ、獄寺君はキリスト教の国の人だったんだなぁ、とぼんやり考えていた。クリスマスは家族で過ごすのが当然なイタリア出身の彼は、綱吉が持ちかけるまで、イブを共に過ごせるとは考えもしなかったらしい。
「う〜ん。一緒って言っても、みんなもいるんだけどねぇ」
 みんな。自分で言っておいて、綱吉はとんでもないことに気付いてしまった。ほぼ同時に、獄寺もそれに思い至る。
「ビアンキ・・・」 「姉貴っ」
 二人の声が重なる。
 
 そう、ビアンキだ。彼女が居る限り、二人の楽しいホーリーナイトは期待できない。だからと言って、すっかり綱吉の家に居付いている彼女を抜きにパーティーなんて不可能だ。
「10代目ぇ〜〜」
 世にも情けない顔になって自分を見る獄寺に、綱吉はとっさに、なんとかするから!とか答えてしまっていた。
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