ストライク・ストライク

□しらとり
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バスの外は夏。横手とは違う、射殺す様な陽射しの中での練習を終え、俊二は冷房の効いた車内で涼んでいた。気怠い疲労が全身を包む。下がる瞼に逆らわず、俊二はうとうとと眠りに落ちかけていた。
「う・おー!
海じゃあーー!!」
心地良いまどろみは、馬鹿みたいな大声にぶち破られた。


「・・・何なんじゃ、一体」
「俊、見てみぃ。水平線じゃぞ!」
子供の様に眼を輝かせた秀吾が、バスの外を指差す。
飛込んでくる光。彼方に広がる曲線。
窓を全開にした唐木達が意味不明の雄叫びを上げている。
「お前ら、あと少し行ったらバス停めるけん、それまで少し黙っとけ」
疲れた様なオッサンの声が、空しく響いた。
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