テキはどこだ

□I WISH
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たくさんの愛しさをわけてくれたから

望むなら空だって泳いでみせるよ


【I WISH】
 クリスマス。キリスト教国でもないのに日本中がお祭り騒ぎになる日。沢田綱吉にとって、その日はちょっと煩わしいくらいの日だった。
 そう、去年までは。


<1.とっておきのこの夜を祝おう>

「は?パーティー?」
12月初めのある日。朝の食卓で奈々が唐突な計画を発表した。
 イブの夜にクリスマスパーティーをしたい。それも綱吉の友達をみんな呼んで。
 瞳をキラキラ輝かせながら奈々が言う。
「何でそんな小学生みたいなマネ…」
 綱吉の抗議はリボーンの銃口に遮られて最後まで続かなかった。黒々とした小さな穴と、同じくらい真っ黒なリボーンの目を前に、反論し続ける度胸は綱吉には無い。ついでにリボーンの隣ではビアンキが味噌汁をポイズンクッキング化してこちらを見つめている。
 
 何なのだ、この圧倒的な少数派っぷりは。招待するのは自分の友達のはずなのに、奈々が提案した時点で全て決定済みではないか。
―なんで母さんにばっかりそんなに甘いんだよっ
 恨みを込めた視線も、ニヒルな笑いで瞬殺される。
 朝から緊張感に満ちた食卓で、招待客を挙げていく奈々の弾んだ声だけが暢気に響いていた。
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