MUSIC
□鑰(カギ)
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息を止めたら 微かに聞こえた
心臓のあたり 小さな部屋から
泣き声
錠の掛かった
その部屋に
挨拶代わりにノックを2つ
返事の代わりに 小さな泣き声
声の主を探して 覗き込んだ鍵穴は
懐かしい形
知っていた形
どこかで自ら棄てたような形
思い出したよ
君の事も
その錠は僕が掛けてたんだよ
この手が望んで棄てたんだよ
「ごめんね」代わりに流れた涙で
鍵穴は錆びついた
二度と開かない
その部屋に
諦めの代わりにノックを2つ
「心に錠はかけたままで
それでもいいよどうか大事に」
鍵穴の向こうから聞こえた声
僕が僕に向け放つ声
「君が大切にしてくれるから
僕はこうやって息をしてる」
鍵穴の中から漏れた光に
「またね」の代わりに
「お互い様」と伝えたよ
耳をすませば聞こえるよ
心臓の少し向こうから 嬉し泣きと笑い声