〜Novel〜

□over
2ページ/3ページ


ハーマイオニーはドラコに言われた通り大人しく戻ろうと階段に向かった。

ふと気になりドラコに目を向けると
一瞬、ドラコと目が合った。
ドラコはぱっと目を反らし

「早く行けよっ!」

と言ってその場に座りこんでしまった。

ハーマイオニーは
彼がまるで行かないでくれと助けを求めてるような気がした。

(勘違いかもしれない…でも…)

ハーマイオニーは決意したようにぐっと顔をあげるとドラコの元へ駆け寄り、
包み込むように優しく抱き締めた。


深い慈愛を持つハーマイオニーはいくら嫌いなドラコ・マルフォイでも
普段とは違う弱々しい青年をほっとく事が出来なかった。

きっと振りほどこかれるだろうと覚悟して抱き締めたが
ドラコはびくっと反応したがハーマイオニーの腕を振りほどこうとはしなかった。


ハーマイオニーはほっとため息をつき自分でも驚く程優しい声色で告げた。


「泣きたい時は思いっきり泣いた方がいいわ。」


その言葉にドラコはせきを切ったように泣いた。


ハーマイオニーは黙ってドラコを強く抱きしめた。

どれだけの時間が経ったのか
辺りはすっかり暗くなっていた。

ドラコは泣きつかれたのかハーマイオニーの胸の中で穏やかに眠っていた。

ハーマイオニーは沸き上がる不思議な感情に困惑していた。

嫌いな筈なのに
この弱くて意地っ張りな彼の傍にずっと居たいと思う。

しばらく考え、ハーマイオニーはあぁと納得した。


「これが恋なのね…」


ハーマイオニーは規則正しい寝息をたてているドラコの頭にキスをした。


願わくば、このまま時が止まって欲しい…。


彼が目を醒めればきっとこの夢のような一時は終わってしまうから。


「永遠の片思いね…」

ハーマイオニーは小さく笑って目を閉じた。


彼女はまだ気付かない。

彼が既に覚醒している事を。

そしてこれから始まる二人の秘密の恋を…。



END
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ