〜Novel〜
□抱擁
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ハーマイオニーは言い叫んだ後
しまった!と口を塞いだ。
我ながら理不尽な逆ギレをしてしまった。
が、後悔しても後の祭り。
言ってしまったものはどうする事も出来ない。
恐る恐るドラコを見ると彼は冷徹な笑みを浮かべており、目は完全に据わっていた。
(こっ…怖いっ…!!)
ハーマイオニーが怖さの余り目を反らすと
ドラコは彼女の顎を乱暴につかみ無理矢理顔を向けさせた。
「お前の気持ちはよ〜〜く分かった。」
「分かった…って…?」
「そっちが僕に抱きついて来るまで、僕は他の女とイチャつくからな!」
「んなっ!!!」
ハーマイオニーはドラコの突拍子もない発言に目がテンになってしまった。
「君は言ったじゃないか。他の女の子に抱き締めて貰えって。」
「それは…っ!!!」
「そうだなぁ〜まず手始めにパンジーに抱き締めてもらうか。あいつなら喜んで抱きついてくるだろうね。」
ドラコはふふんと鼻を鳴らして笑った。
「〜〜〜〜〜っ!!!!」
ハーマイオニーはその言葉に傷つき
顔を真っ赤にし大粒の涙を溢した。
ドラコはハーマイオニーが泣いた事に驚き、思わずハーマイオニーの顎から手を退けた。
「お…おい…何泣いて…」
「貴方が泣かせたんでしょ!!」
ハーマイオニーはドラコを思いっきり睨み付けた。
「全然私の気持ち分かってない!付き合ってても全然会えなくて、会っても話は続かないし!貴方だって私を抱き締めてくれないじゃない!…そんな…そんな状態で抱きつける訳ないわよ!」
言うとハーマイオニーは泣きながらしゃがみこんでしまった。
(ああそうか…。
彼女が僕に抱きつかなかったんじゃなくて、抱きつけなかったんだ…。
全部自分の責任じゃないか。
それなのに僕はグレンジャーのせいにして、勝手に嫉妬してたんだ。)
ドラコは自分の不甲斐なさに苦笑いを浮かべ腰を屈めてハーマイオニーに囁くように言った。
「ごめんグレンジャー…。」
その言葉にハーマイオニーがピクッと反応した。
「嫉妬してたんだ…君が他の男と抱き締め合ってるのが許せなかったんだ…その…僕も君に抱き締めて欲しかったんだ…」
ドラコは閥が悪そうに話した。
ハーマイオニーは何の反応も示さず、ドラコは今日は諦めて帰ろうと姿勢を戻そうとした。