〜秘密の書〜
□深酒
1ページ/6ページ
ドラコは頭を抱え唸った。
彼の右手には何故か瓶酒。
ドラコの近くにはぐずぐずと体育座りの体勢で啜り泣く少女。
ハーマイオニー・グレンジャー。
どうして僕がこんな事に巻き込まれなきゃならないんだ…。
ドラコは自分のタイミングの悪さを呪った。
事の発端はつい数分前に遡る。
監督生として見回りをしていたドラコは、廊下の隅で蹲っている人影を見つけた。
普段なら係りたくないと知らん顔をするドラコだが、今は監督生として見回りをしている身である。
ドラコは仕方なく、気だるそうに足を向けた。
その場にしゃがみ込み、ドラコは光を向けた。
倒れていたのは女生徒のようだった。
「おい、大丈夫か?」
ドラコは声をかけたが女生徒はぴくりとも動かなかった。
今度は身体を揺すってみるが全く反応しない。
これはただ事ではないかもしれない…。
「おい!!」
焦ったドラコは強引に腕を持ち上げ身体を動かした。
「う〜〜にゃによぉ〜。」
呂律が回らない舌で言うと面倒くさそうに起き上がり、ドラコの手を振りほどいた。
その女生徒の顔を見てドラコはぎょっとした。
倒れていたのはハーマイオニーであった。
「グ…グレンジャー!こんな所で何してるんだ?」
「ああ〜マルフォイだ〜。何やってるの〜?」
「僕は見回り中で…って、こっちが聞いてるんだよ。何してるんだよ?」
「別に〜何もしてないまへんよー」
まへんよーって…何だ?グレンジャーいつもと様子が違うぞ。
ドラコは怪訝な顔でハーマイオニーをじっと見た。
ハーマイオニーは何が可笑しいのかケタケタと笑っている。