〜秘密の書〜
□密なる言葉
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「試してみるか?僕と…」
全ての始まりはこの一言から始まった。
甘く…苦しいあなたの誘惑から…
〜密なる言葉〜
今日は日曜日。
週に一度だけホグツミードに行ける日である。
生徒の殆んどがホグツミードへと向かう中、一人だけ全く別の方向へ足を進める少女がいた。
名はハーマイオニー・グレンジャー。
ホグツミードへ行く時間があるなら本を読んでいたいと友人からの誘いを断り
ハーマイオニーは急ぎ足で図書館へと向かった。
図書館の中に入ると、案の定中には誰もおらず、マダム・ピンスの姿さえ何処にも見当たらなかった。
(まるで私だけの貸し切り状態ね。)
ハーマイオニーは苦笑いを浮かべ自分の指定席へ座った。
「今日は何を読もうかしら。歴史物は全部読んでしまったし…」
「たまには恋愛小説でも読んでみなさいって!」
ふと、昨日言われた言葉を思い出した。
昨日の夜、いつものように談話室で小難しい本を読んでいたハーマイオニーを見たラベンダーが見かねて言ったのだ。
「ハーマイオニー、あなたいっつもいっつも難しい本ばっかり読んでたら早く年取っちゃうわよ!たまには恋愛小説でも読んでみなさいって!絶対あなたもはまっちゃうわよ♪」
ラベンダーは早口で言うと、満足したのか、呆気にとられたハーマイオニーを残しスキップをしながら部屋へと戻っていった。
ハーマイオニーは昨日の出来事を思い出し、思わず吹き出してしまった。
「ラベンダーの言う通り難しい本を読みすぎてるかもしれないわ…たまには恋愛物も読んでみようかしら。」
ハーマイオニーは席を立ち、恋愛書物がある本棚へ向かった。
「凄い…恋愛物ってこんなに沢山あったのね…」
始めて足を踏み入れた為、ハーマイオニーは恋愛書物の多さに驚いた。
「ん〜どれを読めばいいのかしら…」
ハーマイオニーはとりあえず自分の近くにある本棚から適当に見ていく事にした。
しかし、興味を引くものはなかった。
(やっぱり私には恋愛物はしょうに合わないわ。)
諦めて戻ろうとした時、ある本がハーマイオニーの目に止まった。
題名など何も書いていない青い本。
ハーマイオニーは興味が湧きその本を手に取った。