〜Novel〜
□tedy bear
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あなたは昔言いました
目覚めれば枕元には素敵な
プレゼントが置いてあるよと
髪を撫でながら…
ハーマイオニーは眩しい陽射しを感じ、ゆっくりと目を開けた。
自然と隣に寝ている筈の温もりを求め手を伸ばした。
「マルフォイ…?」
しかしそこには彼の姿はなく、代わりに大きなくまのぬいぐるみと手紙が置いてあった。
ハーマイオニーは飛び起きると震える手で手紙を開いた。
そこには一言だけ、綺麗な字で書かれていた。
愛してる。
あぁ彼は行ってしまった。
私を守る為に。戦いに行ってしまった。
「私は大丈夫なのに。」
ハーマイオニーは大きなくまのぬいぐるみを見た。
その大きなくまのぬいぐるみは、先月ドラコと二人で出掛けた時に見かけ、ハーマイオニーが可愛いと言って抱きついたぬいぐるみだった。
「そんな物が欲しいのか?」
「欲しいなんて言ってないわ。可愛いって言っただけよ。」
ハーマイオニーはぷくっと頬を膨らますと、ぬいぐるみを元の場所に戻した。
閥が悪そうにぬいぐるみを返すハーマイオニーにドラコは可笑しそうに笑った。
「そんな笑う事ないじゃない…」
ハーマイオニーは更に頬っぺを膨らまして抗議した。
「悪かったよ笑って。可愛いなと思ったんだ。」
そんなドラコの答えにハーマイオニーははぁ?と首を傾げた。
可愛いのに笑うって変じゃない。
ハーマイオニーは疑問に思ったが、可愛いと言われた事が嬉しかった。
二人は仲良く腕を組んでお店を後にした。
「あの時はバカにしてたくせに…」
ハーマイオニーはくまのぬいぐるみを抱き抱えた。
「早く帰ってきて…マルフォイ…」
―貴方がいないと私は淋しくて死んじゃうわ…―
ハーマイオニーはぬいぐるみを抱えながら声を押し殺して泣いた。
ぬいぐるみ何ていらない…
貴方が居なきゃ意味がないのに…
目覚めた私の枕元
大きな熊のぬいぐるみ居ました
隣にいる筈のあなたの
姿と引き替えに
―tedy bear―