〜Novel〜
□抱擁
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君は知らない。
君がポッターやウィーズリーを抱き締めてる姿を見るたびに
僕の胸の奥が張り裂けそうになる事を。
君は知らない。
僕は今まで、君に一度も抱き締めてもらった事がない。
それとも知っていてわざと抱き締めてくれないのか?
一度だけでいい…グレンジャー…僕を抱き締めてくれないか…?
〜抱擁〜
ある晴れた昼下がり、誰も寄り付かないであろう禁じられた森に二人の影があった。
グリフィンドールの監督生
ハーマイオニー・グレンジャーと
スリザリンの監督生
ドラコ・マルフォイである。
二人の仲は誰にも知られてはいけない。
人前で堂々とイチャつくのはもってのほか、一緒にいる事も許されない為、彼らは誰も寄り付かない禁じられた森で限られた時間だけしか会えないのだった。
今日ここで会えたのも実に2週間振りで、お互い気恥ずかしく会話が思うように続かなかった。
ついに話が途切れてしまい気まずい雰囲気が流れた。
(ハリー達とは気を遣わなくても話が続くのにな…)
ハーマイオニーが親友達の事を思い出し小さく溜め息をつくと
ふいにドラコがぽつりと呟いた。
「前から思ってたんだけど…」
「何?」
少しの時間を置いてふぅと息を吐くと
ドラコは神妙な面持ちで口を開いた。
「グレンジャー、何故君は僕に抱きつかないんだ?」
「へぇ?!」
ハーマイオニーは思ってもみなかったドラコの質問に驚き
すっとんきょうな声を出してしまった。
「そ、そんなの恥ずかしくて出来ないわ!」
ドラコはハーマイオニーの発言に怪訝な表情をした。
「恥ずかしい?ポッターやウィーズリーには抱きついてるじゃないか。」
「そ…の…二人とは親友だし、心を許せる相手で…」
「つまり僕には心を許してないと?」
「違うわ…!そうゆう意味じゃなくて、二人とは昔からの知り合いだし!」
「僕らも昔からの知り合いだっただろ。」
「だって…貴方と付き合い始めたの最近じゃない!」
「付き合ってるからこそ抱き締め合うんじゃないのか?」
「…うっ。」
ハーマイオニーはドラコの隙のない質問攻め攻撃にぷっつんと何かが切れてしまった。
「そんなに…そんなに抱き締めてもらいたいなら他の子に抱き締めて貰えば良いじゃないっ!!!」