マナケミア

□日常殺戮逃走劇
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「むむ…!」



グンナルが咄嗟に感じたのは…殺気

今や殺気を放つ本人の気配を探るより、この殺気を感じる事で姿を隠す方が効率的な気がしていた



「よし、ココなら…」



とある教室の一角

ある意味、このような逃避行を続けているウチに隠密術の能力が上がっていくのではないかと考える

普段はコレでやりすごせたりする確率の方が多かったりするのだが…



「…そこっ!」

「ぬぉ!?」



常人には見えぬよう隠れたはずだったがアンナは幾多ある教室の中から一発で当て、迷いもなくグンナルの隠れてる場所を愛用している刀で斬りかかってきたのだ

しかも太刀筋にすら全くの迷いがなく、見事な一撃

怪我しないよう避ける事はできたが常人でも見えるよう、姿を現すハメになる



「よ、よくぞ見破りおって…!」

「グンナル先輩のパターンなら簡単に読めます」



いつでも居合い斬りができるよう構え、対峙するアンナ

もはや何のためにグンナルを追いかけていたのか分からず、ソレすらも最早どうでもイイと言わんばかりの殺気だ



「ま、待て!今日は確かにゼップルのくだらん授業はちゃんとサボったが他の授業は貴様のカリキュラム通り受けてきたぞ!?」

「一番単位が危ないのはそのくだらないゼップル先生の授業だって分かってるんですか!?」



ゼップル本人がこの場にいたら涙目になるしかない会話を続けるが本人達はお構い無し

二人は対峙したまま会話を続ける



「く…!こうなったら強行突破するまでよ!」

「させません!」



普通の人にとっては尋常でないスピードで教室のドアに向かったグンナルであったが…

アンナはソレと同様。もしくはそれ以上のスピードの太刀筋で妨害し、アンナがドアの前に立ち塞がる



「流石はアンナ、もしかしたらヴェイン以上の強者よ…」

「…強行突破なら何で剣を抜かないんですか?」



もはや学校の先輩後輩とのコミュニケーションではなく二人の剣士の対峙になっていた

故にアンナは剣士として正々堂々とした勝負を求めてくる

しかしそんな剣士と剣士の対峙をグンナルは一言で一蹴し、逃げるための一手となるのだが本人の狙っての言葉ではなかった



「俺様は、貴様のような可愛い後輩に剣など抜かん!」

「かわっ…!?」



妙な所で義理堅い先輩っぷりを発揮するグンナル

咄嗟の台詞故に言葉足らず、そして思い込みの激しいアンナにとっては告白のように受け取ってしまい一瞬でアンナの顔がボン!と音を立てそうな勢いで真っ赤になる



「む…チャンス!」

「…!グンナル先輩!」



アンナにすきが生まれ、先程以上のスピードを繰り出して教室を出ていった

すかさず捕まえようと手を伸ばすが空を掴んだ



「ま、まちなさーい!」



グンナルの言葉を告白擬きに受け取ってしまい、一瞬顔を真っ赤にしてしまったアンナだったが慣れ親しんだ習慣から逃げたグンナルを捕まえようと再び身体が動きだした

…素直に恋愛沙汰になるのはまだ遠い話し








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