マナケミア
□暖かな昼下がり
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「…お嬢様?」
「すぅ…」
アトリエのソファで柔らかな寝息をたてる我が主
こんな所で寝てるのも珍しいが一人でいるのも珍しい
…おそらくウィムに何か用事を頼んだがなかなか帰ってこず、待たされているうちに寝てしまったのだろう
「まったく…こんな所で寝てると風邪ひきますよ?」
「ん…」
できる限り優しく起こそうと軽く肩を譲りながら起こそうとする
…あまりに雑な起こし方をすれば絶対に怒るからな
「お嬢様ー」
何度呼んでも起きない
柔らかな寝息をたてるお嬢様をこれ以上に肩を譲って起こそうとすれば寝起きは悪くなり八つ当たりされる事間違いなしだ
「はぁ…」
かといって放置するのも怒られるのは間違いない
仕方ないのでゆっくりとお嬢様の隣に座ってお嬢様が起きるか、ウィムが帰ってくるのを待つ事にした
「ん…ロゼ…」
「………」
…何と言ったらいいのかよくわからないが…
コレは少しばかり恥ずかしいという気持ちなのだろうか…?
お嬢様が、寝言でオレの名前を…
「………」
「すぅ…」
結局オレにできるのは無言だけ
けど、オレも男だし毎日アレだけ騒がれててお嬢様の気持ちに気がついてないワケじゃない
ただ…その、気恥ずかしいだけだ
「…お嬢様」
「ん…」
隣に座りながら寝るお嬢様はやはり寝たまま
綺麗な金髪が、お嬢様の甘い香りがオレの心をくすぐる
「…リリア」
絶対に普段は呼ばないお嬢様の名前
お嬢様もお嬢様でオレを下僕扱いする物だから名前を呼ぶ事は滅多にない
…やはり、少し気恥ずかしくなってくる
「………」
「すぅ…」
やはりまた流れるのは沈黙…
何もできないオレ自身がもどかしい
「…ふぅ」
普段はお嬢様の行動を面白く見させてもらってるが…
今日は…オレの方がまったく余裕がなかった
→あとがき