小説

□地獄少女【お嬢からあいへ__】
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「「せっかく【連】って呼ばれたのに【一目連】になってしまった…

違う…俺がそうさせちゃったんだ…」」

泣きながら後悔している一目連に

「一目連は【連】ってよばれて嬉しくなかったの??」

きくりが言う。


「嬉しかったよっ…だけどっ…」

「それはあいも同じことじゃないの??」

きくりが言葉を遮って言う。

「どういう…」

戸惑う一目連

「嬉しかったから、もう一度呼んでって言った。
嬉しかったから連って言った。


好きだったから。目を閉じた。」


「え?…」


すると骨女が出てきて話し始めた。

「お嬢はずっと一目連のことが好きだったんだよ。

だけどいけない事だから、諦めてたんだ…

それなのに好きな人から【あい】って呼ばれたっ…

嬉しかったんだよ、お嬢は。

もしかしたら向こうも自分のこと好きでいてくれてるのかもしれない。

そしたらどんなに罪なことでも、どんなにいけないことでもっ!…

もっと呼んでほしい。
もっと近づきたい。

もっと…キスしたい…

そう思うのが普通なんじゃないのかねぇ。」



「…お嬢が…俺のことを…?」


「お前さんはお嬢のことをどう思ってるんだい?」

「俺は……」

「罪なことでも、お嬢はそれをした。
名前を呼んで欲しいといった。

どんなに勇気のいることかっ

お前さんには勇気がないのかいっ!?」



「俺は…好きだ…」

一目連が勇気を出して言う。

「俺はっ…お嬢のことが、違う。あいのことが好きなんだっ…

でもっそれを口にして嫌われるのが怖かったっ…」


「でもお嬢は言ったんだよ?」



「…今なら言える。今なら勇気を出して言えるっ…」

「だったら、俺達に愛の告白するよりも、お嬢に直接言ってきたほうがいいんじゃねぇか?」

輪入道は微笑みながら言う。


涙を浮かべながら頷く一目連。

「さぁ、行って来い!」

走り出す一目連。




あたたかく見守る骨女と輪入道。

「こんなふうにお嬢を怒らしてしまったのも、お嬢のしまっていた気持ちを解いてしまったのも、私たちの責任だからねえ。」

「そうだなぁ…いけない事だが、せめて上手くいってほしいと思うよ…」


「そうだよっいけない事なんだよ!
でも、大丈夫っ!
二人なら許してもらえるよっ」

きくりが笑顔で言うと、

「元はと言えばあんたがいけないんでしょっ!
かくれんぼしようと言ったり、鬼を一目連にしようとしたりっ!」

きくりの頬をぎゅーっとつねりながら言う骨女。

「いひゃいぃっ!いひゃぃっ!」
半泣きの状態のきくり。

「わかったかい?もうしちゃだめっ!」


「ひひひっ別に偶然なんかじゃないんだもんっ!」

…と企んでいる笑みを浮かべながら走り去っていくきくり。

「まさか、あの子…
全部計画してたのかいっ!?」

顔を見合わせる骨女と輪入道。


「まぁ、それはそれでいいかっ」

微笑みながら歩き出す二人。
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