OTHERS

□流れ星
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流れ星が・流れた。


それはあまりにも一瞬で、
もう何も見えなくなった空を見ていると、
その一瞬は、なんだか嘘だったような気もして。


携帯電話を手に取った。


押しなれた、彼の番号。
電話帳にだって登録してあるのに、
彼の番号だけはもう・手が覚えているから。


いま、流れ星が流れたんだよ。
もう見えないけどね。


そう言ったら、彼はきっと笑うよ。


そんなことで電話するなよ・って。


だけど本気で怒ったりはしない。
人が好きな彼だから、
そのあと1時間くらい・くだらない話をするんだ。

みんなは知らない。
彼を好きなあの子も・あの子だって、
彼が電話を喜んでくれることなんて知らずに、
流れ星を見たって、彼に電話なんかできないんだ。




「こちらの電話番号は、現在電波の届かないところにいるか、電源が入っ…」




ああ、そうか。



アメリカにいたんだっけ・な。



今日は、もう、
流れ星の話、できない。



(はやく帰ってきて)

(彼女じゃないけど、「特別」なふりをして、願うよ)




流れ星に乗って、彼のところに、堕ちればいいや。



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