遙か3
□白銀の地平
2ページ/4ページ
「ねぇ銀。今日は随分と静かだね」
「やはり雪がよく降っているからでしょう。皆外に出歩いておりませんので」
頼子の問い掛けに銀は答える。
それに頼子は小さく返事をして立ち上がる。
そして障子を開けて外の景色をゆっくり眺める。
未だ降り止まぬ雪が目の前に広がる。
「やっぱり奥州なんだね」
どこか感慨深げに頼子は呟く。
「雪はお嫌いですか?」
銀の唐突な質問に頼子は首を傾げる。
何故自分が雪嫌いと言われるのか分からないといった所だ。
「別に雪は嫌いじゃないよ。こんなに沢山見るのは久し振りだからびっくりしてて」
彼女の出身地である鎌倉も、今までいた京も決して雪がよく降る場所ではない。
だから奥州の雪が新鮮なのだろう。
「どこか寂しげな顔でしたので…私の勘違いだったようですね」
微笑む銀に頼子は僅かに苦笑する。
どうやら先程までの考えが顔に出ていたらしい。
「さっきまで望美達に会えなくて寂しかったけど、今は銀がいるからね」
「ありがとうございます。ですがもう少し早く来るべきでしたね」
「どうして?」
「私がもっと早く来ていれば、頼子様に悲しい顔をさせずに済んだのに」
銀のそんな気遣いが嬉しくて頼子は思わず抱き着く。