遙か3

□またたび注意報
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「頼子殿も酷いな…私はいつもと変わらないが?」

「いや、大違いだから!最早誰?って感じだから」

「頼子ちゃん落ち着いて!」


キャーキャーと騒ぐ頼子を何とかなだめようとする景時。
敦盛はきょとんとその光景を見ている。


「いた、敦盛!」


と、そこへ熊野別当ヒノエ参上。


「ヒノエ、今日も変わらず美しいな」


敦盛の発言にヒノエは一瞬固まる。
まあ無理もないだろうが。


「敦盛。お前今日は部屋から出るな!いいな?」


何とか気を取り直して告げるヒノエ。


「何故だ?せっかくだから頼子殿を愛でていようかと…」

「いいから!」


まだ何か言っている敦盛の口を塞ぎ、部屋へと強制的に連れていくヒノエ。
頼子と景時はその一部始終を呆然と見ているだけだった。


「何だったの…?」

「さあ…?」


ただただ頭を捻る二人。

そんな二人の元に、一仕事終えたヒノエがやってきた。


「悪いね。迷惑かけて」

「大丈夫だけど何事なの?」


頼子の質問にヒノエは大きなため息を吐き出す。
そして二人の腕を引いて近くにあった部屋の中に入る。


「実は敦盛の奴、ある物の匂いを嗅いでああなったんだ」


ヒノエの喋りに頼子と景時はごくりと唾を飲む。


「一体何の匂いを嗅いだの?」

「それは…またたびだ」

「「えぇ?!」」


ヒノエの意外な返答に二人揃って間抜けな声を上げる。


「何でまたたびなんか…」

「望美が敦盛が猫っぽいからって持って来たんだ」


景時とヒノエのやり取りを聞いて頼子は頭痛を覚える。

 
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