薄桜鬼
□不変の日常
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新選組幹部達が集まるお馴染みの夕飯時。
「新八っつぁん、それ俺の!」
「食うのが遅い平助が悪い!」
永倉が藤堂の魚に箸を伸ばしてそれを奪う。
負けじと藤堂も永倉の膳に乗るおかずに箸を伸ばす。
「頂く」
「あっ!」
その一瞬の隙を突いて斎藤が藤堂の漬け物を口に運ぶ。
それを悔しそうに見つめる藤堂を永倉が笑う。
「平助君も大変ですね」
「ま、この学習能力の無さは最早奇跡だね」
千鶴の同情に香穂はため息混じりで答えた。
席が決まっている訳でもないのに、必ず永倉の隣に座る藤堂。
それだけ仲が良いのだろう。
「あと…斎藤さんってちゃっかりしてますよね」
「確かに。ほら、千鶴ちゃん」
香穂が指差す先には、丁度千鶴の膳から斎藤の箸に持っていかれようとする焼き魚が。
「斎藤さん酷い!」
「呆けているからだ」
淡々と言いながら食事をする斎藤に、香穂は悪戯な笑みを浮かべた。
「一君もすっかりやるようになったよね。昔はあんなだったのに」
「香穂?!」
「香穂さん、それ聞きたいです!」
笑顔で食いついてきた千鶴に、香穂は一つ昔話をした。