遙か3
□青春校内恋愛
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教師が教科書を読み進める声だけが教室に響く。
昼休み後の、いつもと変わらない授業。
正直、午後の現国の授業なんて寝る為にあるようなものだ。
現に俺も瞼が重い。
「有川君、教科書152ページ読んで」
ニコリ、と笑顔を浮かべながら言われた。
どうやら欠伸をした瞬間をバッチリ見られたらしい。渋々ながら指示されたページを開き、並んだ文字を読んでいく。
トゥシューズから始まる関係の話とは、何とも夢の様な話だ。
ありきたりなネタだとは思いつつも教科書を読み進めていく。
「はい、ありがとう」
きりの良い所で終了の合図が来た。
俺が読んだ部分の説明が黒板に書かれていく。
その後ろ姿を眺めながら機械的にシャーペンを走らせる。
それを繰り返していくうちに、授業終了のチャイムが鳴った。
「本当頼子先生は美人だよなー」
友人がやって来てそう熱っぽく語る。
片思い中らしく、ほぼ毎時間そう言ってくる。
「ん、あぁ…そうだな」
他の事を考えながら、適当に相槌を打っておいた。
だが構わず熱弁を振るっている。
それを聞いてるうちに休み時間が終わってしまった。