遙か3
□世界中の誰よりきっと
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怨霊を生み出している平家。
それを使い源氏と争う平家は町の人々から恐れられている。
そんな平家の日常─
「ここまで来れば大丈夫か…」
縁側の下に隠れ乱れた息を整える頼子。
その手には何故か屋敷の中にも関わらず刀が握られている。
「ここにいたか頼子!」
「げ、将臣!」
縁側を覗き込み叫ぶ将臣。
それに慌てて頭を打ちながらも頼子は何とか這い出した。
「何で分かった?」
「ガキの頃からの付き合いだからな。行動パターンは読めるさ」
「くっ…」
唇を噛み締めながら頼子は刀を構える。
それに丸腰の将臣は焦った。
「待て…!」
「邪魔するな!」
刀を振り被った頼子に将臣は思わず目を閉じた。
しかし予想した衝撃とは違う衝撃がやって来て、将臣は地面とキスするはめに。
「情けないな兄上」
将臣に地面とキスさせた張本人、知盛が馬鹿にした様な笑みを浮かべ言う。
ちなみに頼子はいつの間にか背後にいた重衡に抱き締められている。
「お前…思いきり蹴っといてよく言えるな!」
「クッ…」
「笑ったー!」
知盛の反応に将臣は声を大にしてツッコミを入れる。
知盛は煩いと言わんばかりだ。
「煩いな…」
あ、言った。
一方そんなやり取りなど無視している頼子と重衡。