遙か3
□器用、不器用
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─有川家リビング─
「敦盛君の髪サラサラで綺麗」
ニコニコと笑いながら敦盛の髪を梳している頼子。
最初は嫌がっていた敦盛も今はおとなしくソファーに座っている。
「そうだろうか?私は頼子殿の髪の方が綺麗だと思うが…」
「嬉しい事言ってくれるなー」
ふふっ、と笑って頼子は礼を言う。
優しい動きの手が敦盛の髪を綺麗に結っていく。
「よし!」
最後にピンで固定して頼子は終了を告げる。
中々の出来栄えに満足気な顔をしている。
「すまない」
「いえいえ私の我儘なんで気にしないで」
後ろを振り返って礼を言ってくる敦盛に頼子はそう答える。
そして背もたれを越えて敦盛の隣りに腰を下ろす。
「そう言えば、敦盛君髪切るって本当?」
以前望美辺りから聞いた話を本人に聞いてみる。
「ああ。せっかくの機会だし、気分転換にもなると思って」
「そっか。じゃあ今のうちに弄らせて貰わないと」
微笑みながらそう言う頼子に思わず敦盛も釣られる。
「しかし長い髪なら九郎殿も弁慶殿もそうだが?」
「あの2人は無理だ。おとなしくしてる筈がないもん」
九郎は暴れるだろうし、弁慶は見返りが怖いと説明する頼子。
「そうかもしれないな」
思わず敦盛も納得してしまう。
「でしょ?それに敦盛君とこうやって過ごすの好きだし」
そう言うと軽く頬を赤らめる敦盛を頼子は笑って見つめる。その初な反応にどうしても緩む頬を抑えられない。
「可愛いなぁ」
「なっ?!そんな事はない…」
必死に否定する敦盛が可愛らしく、頼子は思わず抱き着く。
どうしていいか分からずただオロオロする敦盛。