捧物・戴物
□晴模様・恋日和
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梶原屋敷の庭には、今日も楽しそうな鼻歌が響いていた。
「今日も精が出ているみたいだな」
「あ、九郎〜」
声を掛けられ、景時は歌っていた鼻歌を止める。
ヘラリとした笑顔に、九郎も無意識のうちに笑顔を浮かべた。
「今日は天気が良いからねー、頑張ってみたんだよ」
そう言われて九郎が洗濯物を見れば、確かにいつもより多い量が干されていた。
それでも景時の足元の籠にはまだまだ洗濯物が入っている。
「これを一人で全部干すつもりか?!」
「うん。やり甲斐ありそうでしょ?」
ニコニコと笑う景時に、九郎は小さなため息を吐いた。
普段着ないような着物まであるので、一人でやるには少しばかり有り得ない量になっている。
「俺も手伝おう」
「九郎が?いいって!折角の休みなんだから休みなよ」
源氏の名代として、八葉として、日夜働いている九郎。
久しぶりにそのどちらも無いので、景時としては彼に休んで欲しかった。
「景時と一緒にいた方が休まるから大丈夫だ」
眩しいくらいの笑顔で、九郎は景時に告げた。
その言葉に少し赤くなりながら、景時は小さく頷く。