贈物文
□6666hitリク!「あの時から」
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あの時は夢だったのかしら?
隊長に告白されて一週間。
あれから、仕事は山積みで、変わりのない日常。
虚退治や、書類仕事の毎日ですれ違いの日々。
顔を合わせたと思ったら、書類の締切の刻限が迫っていて、会話すらまともにできなかった。
そんな中で見てしまった。隊長が、女性に声を掛けているところを。
目尻を下げて、鼻の下を伸ばして、女性の手を握り楽しそうに話をしている。相手の女性も万更ではなさそう。
隊長に気付かれないように、慌てて執務室へ戻り、何事もなかったかのように書類仕事を片付ける。
私は、あんなに美しくない、胸も小さいし、性格も真面目できつい所がある。どう考えても、隊長に好かれる訳がない。
書類仕事が得意だから、きっと自分のさぼりに都合がいいだけなのだ。
私を抱いたのだって、移動されると、書類がたまってどうしようもないから…。
大きく深呼吸をする。
そして、そっと取り出した和綴じの肖像画。
学生時代から馴染みの団子屋の女将さんから手渡されたもの。
「…私はどうしたら、いいんですか…隊長…」