×旧主小説


□メイドのお仕事
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「キラちゃん。入ったら行儀良くするのよ。」
「は、はい!」

僕、キラ・ヤマトは今日、新しいご主人様に買い取られた。新しいご主人様は、大きな財閥の御曹司で、お名前は、確かアスラン・ザラ・・・という。
今からその、新しいご主人様にご挨拶しに行く。

「初めまして。ご主人様。キラ・ヤマトといいます。」
「ふぅん?キラ・・・ね。」

ご主人様は、僕を連れて来た女の人に、部屋を出るよう言いつけ、女の人が出ていくと、此方を見た。
綺麗な顔立ちに、透き通る声。
歳は、同じくらいだけど、紺碧の髪が、誠実っぽさを引き立てている。
僕は、ついご主人様に見惚れてしまった。

「キラ。ちょっと。」
「あっ、はい。」

ご主人様が指で指示したので、僕が近づくと、ご主人様は、少し困ったようなお顔をして僕に告げた。

「実は最近、メイドが、裏でライバル企業とやりとりする事が多くなって、新しいメイドには、身体検査を受けてもらう事にしたんだ。」
「ぇ?あ、はい!」

身体検査なら、此処に来るまでに何度もしたのに――僕は一瞬戸惑ったが、ご主人様は真面目そうなお方だから、自分でしないと気が済まないのだろうと、勝手に納得した。

「・・・・どうすればよろしいのでしょうか?」
「うん。じゃあまず、そのいろいろ隠せそうな靴とストッキング、脱いでこの籠に入れて。」
「かしこまりました。」

僕は、靴とストッキングを脱いで、言われた通り、籠に入れた。
その時僕は、ご主人様の本心など考えもしなかった。





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