├NOVEL×遙3(銀髪)

□何も持たず只何も無い時間
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「神子殿は雨がお嫌い…か?」
「え?別に嫌いじゃないよ。いきなりなんで?」

少し驚いた様子で知盛を見る望美の髪を手で梳き口付ける。

「では、誘っておられるのか?クッ…。清浄たる神子様が…激しい事だ。」

いつもの様に軽口を叩き、今度は首筋に口付ける。

いつもなら慌てた望美が顔を赤く染めながら否定する。
更に知盛が追い打ちをかけ、柔らかく拒否する望美と最後は身体を重ねる。
そして恥じらいながら怒ったように文句を言う。
その様を見るのも知盛の秘そやかな楽しみだ。

が、どうにも今日は勝手が違う。
思えば声をかけた時から違っていた。

いつもならもっと追い詰めてみたくて意地の悪い事を言う所だが、今日は気が乗らない。

何も言わず望美の膝に頭を乗せ寝転ぶ。

「えっ?また寝るのっ?」

10時間以上寝て、まだ更に寝るのかと本気で驚いている。

「寝やしないさ。ぼーっと…するんだろう?
ただ庭を眺めるのなら…座っているより臥床したほうが楽だ。臥床するのならお前の膝を枕にした方が気持ちがいい」

話をしている間も望美は驚いた顔のまま知盛を見つめている。
反応が乏しい事に不満が顔をだし、意地の悪い言葉が出て来る。
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