君の笑顔

□26廻
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「アーッ
 ハッハッハッハッーーッ
 ハン!
 なんだかんだ言ってもアンタも結局 人の子だね!!
 男が心配なら心配ってハジメから言やァいいのにかっこつけてんじゃないよ!!
 もうアンタなんか ちっとも怖くないもんね!
 いくよ!
 みんな!!!」
一人だけテンションの高いマチルダ
「・・・・・・・・・」
それをただ黙って聞くカンナ
「ワッチ!!」
ドスッと矢がマチルダに向けられるがそれを避ける
「・・・悪いけど・・・
 アンナちゃんはあなた達の相手をしているヒマはないの
 相手は私達よ」
「どうぞよろしくお願いします」
完全に戦闘態勢の潤とたまお

ハアハアハアと荒く呼吸をする
「よし・・・!
 ここまでくりゃもう大丈夫だな
 助かったよねえさん
 オレ達のためにわざわざついてきてくれて」
ルドセブは汗をかきながら言う
「・・・別にあんた達のためじゃないわ
 それよりだいぶ息上がってるみたいだけど本当に大丈夫なの?
 それ」
「ん?」
小さい身体のルドセブは妹のセイラームをおんぶしているのを見て尋ねる
「ああ 妹の事ならしょうがねえよ
 だって こいつこうでもしねえとまだあそこでボーッとすわったままだったろうからな」
「?」
ルドセブの言っている意味が分からないアンナ
「・・・・・・・・・
 見りゃわかるだろ
 こいつ・・・
 感情がねえんだよ
 セイラームはあの事件以来すっかり感情をなくしちまったんだ」
「・・・事件?」
「3年前のクリスマス
 オレ達の父ちゃんを殺された
 誰がやったかはわからねえ
 オレ達はもともと移民だったしすぐ施設に入れられて事件なんてそれっきりになっちまったから
 母ちゃんの事は よく知らねえけどとにかくオレ達にとって父ちゃんはたった一人の家族だった
 だからあの夜だってオレ達 父ちゃんのプレゼント楽しみにしながらずっと待ってたんだ
 でも やっと帰ってきた父ちゃんは強盗に何もかもとられて冷たくなった死体だった
 それを見ちまったのがこらえきれず捜しに出たセイラームだったんだ
 それ以来セイラームはずっとこのままだからオレが面倒見てやんのは当たり前だろ
 ・・・セイラームは必ず もとの元気な姿に戻してやる
 だからオレはS.F.に参加した
 それがどんな方法かはわかんねえけどG・Sが治してくれるならそれにこした事はねえし犯人を見つけて復讐する事ならそれさえかまわねえ
 ・・・だからねえさんが言うみたく夢だなんて・・・
 そうたいそうなもんじゃねえんだよオレの目標なんてさ」
セイラームをおぶりながらはははと笑うルドセブ
「・・・変わってるのね」
「ん?」
「あんたも仮にシャーマンなら霊を使って犯人を割り出す事も出来たでしょうに」
アンナは真剣に言う
「まあな
 でもオレ達シャーマンになれたのって父ちゃんが死んでからずっとあとだったから」
「?」
「実を言うと霊の事もシャーマンの事もこの大会の事もまるでちっとも知らなかった
 でも全部アイツが教えてくれた
 大昔 オレ達の先祖を守るため産み出された人造人間
 今も続く争いをなくすために父ちゃんが世界中を旅して蘇らせた失われた秘術ゴーレム
 父ちゃんがオレ達に遺してくれたたった一つの宝物さ」
父親が遺したゴーレムの事を話す
「ゴーレム・・・
 まさか・・・」
アンナは何か気が付いたよう
「おおねえさんも知ってるとはさすがだな
 なんかミッキーもかなり「すごォいよ」って驚いてたし意外と有名なんだな
 まあ実際アイツはかなりすげえから当然っちゃ当然か
 アイツしゃべりはしないけどなんでも知ってるし何より強え理屈は全然わかんねえけど殆どシロウトのオレ達がここまで来れたくらいだもんな
 まあ 昔は土で作られたって聞いたけど まさか父ちゃんが作ってたガラクタ集めがあんな すげえもんだったとは父ちゃんもたいしたもんだぜ」
「もしあれが本物のゴーレムならそれどころかお父さんは天才よ」
アンナですら驚きが隠せられない程の物
「へへ・・・
 そう言われるとすげえうれしい
 いかにも誇らしい父ちゃんって感じだ
 その分だけ犯人がよけい憎いよ」
年齢相応に笑うがその小さな背中に背負っている物ははるかに大きい
「・・・・・・・・・」
「ま・・・
 だからこそもっと頑張ってかねえとなたとえミッキーがいなくたってねえさんの言う通り夢は自分で叶えてみせるさ」
「あんた・・・」
「なんだよらしくねえなー
 そんなに心配しなくたってオレならもう大丈夫だって」
「その肝心なゴーレムは?」
アンナの言葉に思い出したようで驚くルドセブ
「うおお
 セイラーム連れ出すのに せいいっぱいで忘れてたー!!」
大切なゴーレムを忘れていた
「あーもう何やってんのよ
 この子ったらーーーーーーっ
 ったく今から取りに戻ったら時間のムダもいいところじゃない
 その上 また連中の前にカオ出すなんてカッコ悪いったら ありゃしない!
 もう!!!」
カバンからジャラッと1080を取り出しバッと二枚の人形の紙を落とすと前鬼と後鬼が姿を現す
「出でよ!!!
 式神!!!」
「おお・・・!!」
急に現れた式神に驚く
「超!! ふんばりダッシュで取りに行きわよ!!
 しっかりつかまってないと振り落とされるからね!!!」
「へドン
 イェソドビナー
 おいでゴーレム」
セイラームが謎の言葉を言うとゴオッと鳥のような姿に鳴ったゴーレムが飛んで来てズズーン・・・と地面に着地した
「来たわよ!?」
急な登場に今度はアンナが驚く番
「まあな
 確かにオレは忘れたとは言ったけど来ねえとは言ってねえ」
「?」
「でも あわてるなんて ねえさんも意外とかわいいところあるんだな
 オレはよくわかんねえけどきっと母ちゃんがいたら 毎朝学校行く前はこんな感じなんだろうな」
嬉しそうに笑うルドセブを見ると少し頬を赤くするアンナ
「じゃあ遅刻したらゲンコツ100発ってところね」
右手を拳にしてはー・・・と息をかける
「じゃ・・・!
 じゃあ行ってきまーす 
 なんつって!」
わはははは殺されるぞーーー〜〜〜と笑いながら去って行った
「・・・・・・・・・
 参るわね
 こんな皮肉な運命もあるんだなんて」

幹久ーーーー
それでもあんたは
全てを知りつつ
共に行くのか




「跳屍送尸術!
 爆符!!!」
バッとお札を見せる潤
「コンチイン・・・!
 プランシュット!!!」
ババッとオーバーソウルさせるたまお
『導弾道!』
『オラアアアアアア!!
 いったれコンチ!!』

バク・ゾウジダオダンキャク!!!

ラブ・ストライク!!!

白竜はチャックを蹴り飛ばしコンチの矢はジャックを貫いた
ズズズズズッと砂煙がたつ
「・・・!!!」
「今度こそ・・・!」
「仕留めた・・・!?」
まだ手こずっている二人
「ウフフ・・・
 全然ダメ
 そんなしおれた脚じゃマリの人形は止められないもん」
チャックは白竜の足を掴み銃をヌッと向ける
「マグナムクラフト!!!」
ガンガンガンガンガンと銃弾を撃ち込む
「・・・!
 くっ・・・!」
白竜は両腕を防御する
「全く!
 こいつら二人だけでウチらの相手するなんて人をバカにするのもほどがあるよね!」
ドンッとジャックは持っていた鋭いナイフで矢を刺すそれは・・・
『うなああ!
 オレのしっぽがァァァ!!!』
矢かと思われていた物はコンチのしっぽだった
『うおおお死ぬなコンチィィ!!!』
相方のコンチを心配するポンチ
ドロンッと矢がしっぽに変わりナイフに刺さっている
『ハハハ
 身体を切り離して攻撃とはこれまらチンプな・・・』
バカにしたように笑うアシュクロフト
『てめェが言うなっ!!!』
バカにされたコンチはアシュクロフトに怒鳴る
『・・・
 なんだと?』
コンチの言葉にイラッと来た
『ゲ!』
「いけない・・・!
 ただでさえあの二人に手こずってるのに これ以上増えたら・・・!』
潤は最悪の方を考えた
「戻って!
 ポンチコンチ!」
たまおは急いで呼ぶ
『低俗な動物霊の分際でよくもこのワガハイになめた口をきけたものだ
 串刺しにしてやろうか!!!』
『ぎゃーーーーーっ!!!』
バラバラになった身体で襲いかかるアシュクロフトに脅える二匹
パアアンッと穴の空いた腹部にまた拳を貫通さする白竜
『・・・プッ』
顔面を殴られたアシュクロフト
『パ・・・』
『白竜!!!』
『・・・こいつの相手はオレがやる
 お前達は・・・あとの二人を宜しく頼む』
『た・・・
 頼むって・・・』
『相手も何もおめェ・・・!
 どうして!!!
 オレ達なんかかばって刺されてんだよォ!!!』
ポンチとコンチを庇い背中にアシュクロフトの槍が刺さっていた
「・・・!!」
「白竜・・・!」
たまおと潤は白竜の行動に驚く
「フフ・・・
 さすがは正義の味方ね
 でもいくら死体だからってムチャしちゃダメじゃない
 いちいち弱い仲間をかばってダメージを負うなんてさ
 だからアンタらは弱いのよ
 勝利するための戦いにーーーー
 自らが傷つく理由は一つもないのにバカらしい」
カンナは白竜の取った行動をバカにする
『黙れ』
白竜の言葉にピクッと眉毛が動くカンナ
『人は一人で生きるに非ず・・・
 己の利を追うばかりの者はやがて孤独となりて枯れ果てるだろう
 心なき拳に決して勝利は訪れぬ・・・!』
白竜は睨む
「アッハッハッ
 バカじゃねー何言ってんのコイツ!
 自分の置かれた状況よく見て考えろってのよ!!!」
マチルダは白竜を指差してバカにし後ろでは相変わらず震えながら笑うマチルダ
『ハ・・・
 それは無駄というのですなマチルダ様
 なにせ こやつの脳は腐ってます故!
 このアシュクロフトこの槍でズタズタに刺しくだいてやりましょう!!』
白竜の背中に刺さっている槍を抜き取ろうとした
『・・・ヌ!?
 抜けん・・・!!
 こやつ筋肉で長槍を・・・!!』
グッと抜き取ろうにも抜き取れない
「でかしたわ白竜
 彼らのーーーー
 高速の矢をナイフで仕留める動体視力
 白竜の蹴りをその小さな身で受け止める防御力
 これらはもうすでに力の域を超えている
 ・・・未来を予測して敵の攻撃を受け流す彼女達の未知の力
 巫門遁甲ーー
 あなたのおかげでようやく捉える事が出来た」
潤は三人を睨む
『そういう事だ!
 もはや貴様は逃げられん!!
 二度と動けぬほど叩き潰す!!』
グワッと拳をアシュクロフトに向ける
『おお・・・!!
 こやつもしやわざと長槍を・・・!』
『うおおおおおッ!!!』
勝利を確信した白竜
『しかし げに悲しきはやはり弱き者は弱きという事』
いつの間にか白竜の背後にいたアシュクロフトはズンッと白竜の右腕を切り落とした
その光景にたまお、潤、コンチ、ポンチは驚く事しか出来なかった









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