オーバーソウル

□つよいあなたから
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つよいあなたへの続きです



バレンタインが終わり相変わらず平和な日々を過ごしているあんず
巫力が弱いあんずには魂狩りをさせないハオ
その代わりいつもオパチョの面倒を任せているがそれをいつも嬉しそうにこなす
「オパチョ今日はどこに行きたいですか?」
オパチョを抱きながら今日行きたい場所を聞く
「あんずさまがいきたいとこオパチョいく!!」
両手を上げてバンザイをするオパチョ
「そうですね・・・・・・
 ではお花畑に行きましょう」
少し悩んだ結果いつも行っているお花畑に行く事にした
「あんずスピリット オブ ファイア貸そうか?」
ハオは何気なく聞いてみた
「そんな滅相もございません
 私なんかがスピリット オブ ファイアに乗る権利なんかこれっぽっちもございません!!
 ハオ様のお心だけで充分です」
ハオの一言でアタフタするあんず
「・・・・・・なんかそこまで拒否されると傷つくな僕」
心にも無い事を言うハオにハッとするあんず
「・・・いや・・・えっとですね
 ハオ様のお心は嬉しいのですが・・・なんと言いましょうか」
さらにアタフタするあんずを見てクスッと笑うハオ
「ウソだよ
 いいよ行っておいで」
「はい
 では、いってきます」
ハオの笑顔を見てほっとした様子でオパチョと共に出かけて行った

「ハオ様あんず様にホワイトデーのお返しをしなくてよろしいのでしょうか?」
ラキストはコーヒーを手にしてハオに尋ねる
「んーーー
 僕はちゃんとそのホワイトデーとやらに従ってやるよ」
「そうですか
 きっとあんず様もお喜びになられますでしょう」
ラキストはハオにコーヒーカップを手渡して去って行った
「さて私は何をあげればよいのだろうか?」
自分は人より一つ多く貰ってしまったためお返しに悩む
そこに花組が現れた
「なになにラキストあんずちゃんに何あげるかまだ悩んでるの!!」
マチルダは楽しそうにラキストに話し掛ける
「そう言っている花組は何をあげるか決めたのか?」
ラキスタは尋ねる
「・・・そんなの決まってるじゃない」
「あんずが喜ぶもんなんて直に分かるよ」
マリオンとカンナは当たり前のように言う
「私達はあんずちゃんと仲良しなんだから分かっちゃうの」
そう言い残し去って行く三人の背中を見るラキスト
「・・・・・・・・・あんず様が喜ぶもの?」
あご髭を触りながら更に悩み出す


「オパチョ着きましたよ」
いつものようにオパチョを腕から放すと嬉しそうに走り出す
「はないっぱい」
一人で遊んでいるオパチョを見るのが楽しくてしょうがない
あんずはチームが無いため本戦には参加出来ないが一応観客として見に来ている
「私は少しでも皆さんのために働けてるのでしょうか?」
時々思ってしまう
皆はちゃんとハオの命令を聞いて戦っている
だが自分は違う・・・
いつもハオの隣で立っているだけしか出来ない
帰ってくるのを笑って迎える事しか出来ない
ポワッと自分の持霊である花の精霊のアルティが姿を現した
慰めるように周りを飛んでいる
「・・・ありがとうアルティ
 慰めてくれて」
少しだけ勇気を貰った気がする
オパチョは初めて見るアルティを見て大きな目をキラキラさせて見ているのに気が付いた
「オパチョ私の持霊のアルティですよ」
肩に座るオレンジ色のアルティを紹介する
「おれんじいろ」
オパチョはアルティに触ろうとあんずにしゃがむように促し座らせると小さな手でアルティの頭を触る
「ふふふ
 そんなに珍しいですか?」
割れ物を触るように撫でるオパチョを見てクスクス笑う


そんな和やかなムードは一瞬にして崩れ去った


「お前あのハオの仲間だろ?」
顔を上げるとそこには三人の男性が花を踏みながら歩いて来た
あんずは急いでオパチョを抱き上げ立ち上がる
「・・・・・・・・・だったらどうだって言うんですか?」
ゴクッと固唾を飲み三人に聞いてみるとさらに近づいて来た
ギュッとオパチョを抱きしめて睨みつける
「そんな怖い顔すんなよ
 ここでお前を人質にしてハオを叩こうって思ってるだけだ
 なあにお前が大人しく人質になるってんならその小さいのは見逃してやるよ」
「ハオ様は私が捕まっても私を助けには来ませんよ」
これだけは確信がつく
ハオは弱いものを仲間などにはしない
ただ自分は特例なだけだといつも思っていた事
人質になって殺されてもハオは何にも感じない
「そいつはお前が人質になってからの話しだ」
ジリジリと距離が近くなる
三人は花など気にする事無く踏んでいる
オパチョは絶対に花を踏まないで遊ぶ
それはあんずが悲しむからだと知っているからだ

初めてオパチョの面倒を見る事を言われた時オパチョは平然と花を踏んで歩き回っていた
その姿を悲しそうに見ていたあんずを見てオパチョは疑問に思い聞いてきた
「なんであんずさまかなしいかおする?」
オパチョには理解が出来なかった
「・・・私の持霊は花の精霊なんです
 お花を踏まれてしまうと私の持霊も私も悲しくなってしまうんですよ」
その言葉を聞いてからオパチョは絶対に花を踏まずに遊ぶようになってくれた
それなのにこの三人は何の罪も無い花を平然と踏みつけて歩いているのにドンドン腹が立ってきたあんず
「・・・貴方達今すぐ足を止めなさい」
キッと三人を睨むあんずの殺気を感じて足を止める
オパチョはその殺気に驚き泣きそうになっているがそれすら気が付かない程腹が立っている
「私は弱いですが貴方達三人を倒す事位は今なら出来ます」
「へえ・・・
 出来るものならやってみろよ」
オパチョを降ろし両耳にしているオレンジ色で花形のピアスを外してアルティをオーバーソウルさせる
「ここはお花畑です
 この子に好きなだけ力を与える事が出来るんですよ」
「それで?」
腕を組あんずを見る三人
「アルティの媒介はお花の蜜です
 ここには沢山のお花に蜜が有る事をご存じ?」
両手を広げるとバアアアと強風が吹き渡り手の平サイズだったアルティは花の蜜を吸い巨大化し三人を掴んだ
「今でしたらそのままで解放します
 でも、まだ対抗するのなら私は容赦はしませんよ三人共」
上を見上げてアルティに捕まっている三人を見る
「私の巫力は確かに弱いですが・・・・・・霊力なら貴方達に勝つ事が出来ます」
「・・・れ・・・霊力!?」
「貴方達に説明をしても無駄です
 早く決断をしてください」
ギュッと力を強めるアルティ
グッと苦しそうにする三人を見てオパチョは楽しそうに見ている
「・・・オパチョあまり楽しい場面ではありませんよ」
そんなオパチョを見て苦笑いする
「くっそお
 なめやがってこのガキがああああ」
一人の男性が自分の持霊を媒介にオーバーソウルさせようとした瞬間アルティに捕まっていた三人の身体が燃え始めた
「うわああああ」
「何故だああ」
状況が呑み込めない仲間の内の二人は身体が燃える事に驚いているがもう一人は空を見上げて異常な程の汗をかき焦り出しているのに気が付きあんずも空を見上げるとそこにはスピリット オブ ファイアの手の平に乗っているハオが笑って見ていた
「ハオ・・・っ何故ここがーーーー」
「僕に分からない事は無いんだよ
 帰りが遅いと思ったらこんな所で何をしているんだいあんず?」
燃えている三人を気にする事なくあんずに尋ねるハオ
「私を人質にしてハオ様を叩こうとしていたらしいです
 オパチョにも被害が加わると考えて行動しただけです」
空を見上げながらハオに説明をする
「ふーん・・・・・・
 そんなバカな事をしても無駄なのにな」
ハオは自分のオラクルベルをいじり三人の巫力を見る
「・・・・・・・・・ちっちぇえな
 お前らはこの世界に必要ないよ身体も・・・魂もね」
そう言うとボワッと燃え灰になった三人をジッと見るオパチョとあんず
スピリット オブ ファイアから降りるとハオはあんずに歩み寄る
「申し訳ありませんでした
 ハオ様のお手間をかかせてしまって」
ペコッと頭を下げて謝る
「別にいいさ
 ただの暇つぶしだしね
 それにしても・・・デカイなあんずの持霊は」
スピリット オブ ファイア程の大きさになっているアルティを見上げて言うハオ
「もういいですよ
 アルティ元に戻ってください」
あんずが言うとアルティは元の手の平サイズに戻りピアスを持ち肩に座る
あんずはしゃがみ込み枯れた花に触れる
「アルティは沢山のお花が有れば有るだけ大きく霊力も上がりますがそのせいで沢山のお花の儚い命が代償になってしまうんです・・・・・・
 だから私は出来れば戦いたく無いんです
 ごめんなさいねーーーーー」
本当に悲しそうな声で花に話し掛けるあんずを見て驚くハオ
そんな感情自分には無い
だからこそあんずを仲間に誘った
最初はただの興味本位だったがドンドンそんなあんずの姿に惹かれていった










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