小話

□Little Red
3ページ/8ページ



「そんな態度とってる人のお願い聞けるわけないでしょ?」


赤ずきんはそう言って、立ち去ろうとしました。


「待ってー、お願いだから見捨てないで!」
「僕たちを、白雪姫を助けてよ」


しかし小人たちもそう簡単に諦めません。
彼らは切羽詰った様子で赤ずきんに泣きつきました。


「無理なものは無理なの!」


赤ずきんだって早くおばあさんの家に行きたいのです。頑張って抵抗しました。

そのとき。赤ずきんは白雪姫にぶつかってしまいました。
すると、白雪姫の口から喉に詰まっていた林檎が飛び出し、彼女は何事もなかったかの様にゆっくり起き上がりました。

解放された赤ずきんは適当に花を摘んでおばあさんの家に行こうとしました。


「赤ずきん」


赤ずきんの名を呼ぶ人が居ました。その声の主は白雪姫です。
彼女の声は少し怒っていました。


「どうして私を起こしたの?私は王子様を待っていたのに!」


白雪姫は何処からか取り出したハンカチを噛んで悔しがりました。

赤ずきんだって好きで起こしてしまった訳ではありません。
彼女の言葉は理不尽にも程があります。
しかし、白雪姫は赤ずきんを追いかけ始めました。
小人の持っていた刀を構えて。


「ちょ、待ってよっ!
いやぁぁぁぁぁあ!」




その様子を影で見ていた狼は、今は赤ずきんを食べることが出来ない
と悟ると、先回りすることにしました。
















_
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ