小話
□Little Red
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しかし、狼にだってそう簡単には引けない理由がありました。
実はこの狼、三日間何も食べておらず、腹ペコでした。だから、赤ず
きんとおばあさんを食べてしまおうと企んでいたのです。
あまりにしつこい狼に、赤ずきんは嫌々ながらも花畑に行くことに
しました。
「ちっ…分かったわよ。行けば良いんでしょ行けば。」
狼に言われた通りに道を進むと、広い野原にでました。
その野原には確かに色とりどりのたくさんの花が美しく咲いていま
した。
ところが、そこにはなぜか、眠っている少女とそれを取り囲む七人
の小人がいました。
「なんで野原で寝ているのかしら、この子。」
赤ずきん、そこは突っ込まないでいただきたい。
おいおい泣いていた小人たちは、赤ずきんに気が付くと、すごい勢いで赤ずきんにしがみつき、一生懸命頼み始めました。
「お願い赤ずきん。白雪姫を助けて!」
「無理。」
「即答!ちょ…早い。もう少し悩んでくれたって…」
「や、無理だから。」
「やっぱこんな餓鬼に頼んだのが間違いだよ…」
「だよなぁ」
「ちょっと、それって失礼じゃない?仮にも頼んだ身でしょ?
大体あんた達の方が小さいじゃない」
「え、俺は…?」
明らかに赤ずきんより背の高い小人が立ち上がりました。
他の小人達から拍手があがります。
赤ずきんはそちらをちらりとみやりましたが、何も言いません。
「それに私は、餓鬼じゃなくて立派なレディ!」
「スルーかよ!?」
スルーされた小人は泣き崩れました。
「あまりに赤ずきんがつれないからー」
「ねぇお願い赤ずきん。姫を助けてよう。」
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