月の詠

□夜
1ページ/1ページ

救いを求めて伸ばされた手の意味を
あの頃の僕にはまだわからなかった
独りで生きてきた僕達が
初めて触れ合った瞬間
出会いはあまりにも突然で
だから僕は気付かなかった
声が聞こえた気がして振り返っても
そこにはもう誰もいない
互いの道が交差(クロス)したことにも気付かずに
想いだけが行き交った
忘れてしまった希望(ゆめ)を取り戻せるかもしれない
生きる意味をただ求めて
からっぽになった魂がやがて眠りにつく時
憶えていたい想いがある



もう悲し気な声を聞かなくてもいいんだね
欲しかったのはそんな言葉じゃないよ
流れ星に想いを託した
月にも語ってみたけど
胸に空いた穴は塞がらない
失くさなければいけないのかな
目を閉じて変るものは何もないよ
だって僕は今ここにいる
この手に掴んだ大切なもの全て手放して
得るだけの価値があったのか
守りたかったのはそんな未来(さき)のものじゃなかったよ
形無きものをただ願い
抱き締めて伝わる想いは確かにあったね
もっと早くに気付きたかった




僕達はあまりにも無力なんだ
絶望など感じないで
明けない夜なんてないよ
ふと何気なく立ち止まって考えてみると
生きることの方がずっとずっと難しいね
自分の思い通りにならないことが沢山あるんだ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ