並盛中学 校歌第1番

□守りたいもの
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[姫は夢の中、ナイト達の会話]



リボーンに言われて仕方なくボンゴレの屋敷に向かった。


本当はこのまま名無しさんを抱きしめたまま日本に帰りたかったが折角名無しさんが頑張って集めた仕事のデータを持って帰らなかったんじゃ意味が無い。


何よりそれを理由にまたイタリアに行くと言われては堪らない。




−−−車中−−−


「よく眠ってるな。」


「うん。寝てないんでしょ?名無しさん・・。」


「ああ。五日ぐらいな。詰めて仕事してたからな。」


「昔からそうなの?」




電話越しで雲雀はルーカが「お前、また食事も睡眠も取ってないらしいじゃねぇか」と言っていたのを知っている。


昔から名無しさんを知っているルーカが言うのだからきっとそうなのだろうと容易に想像はついた。




「ああ、極度の不眠症なんだ。・・・天才ってのは昔から不眠症だって言われてる。人より頭使ってるから興奮状態でなかなか寝付かねぇんだ。それに名無しさんは考え込んだら止まらねぇからな。
・・・逆に熟睡したらとことん集中して寝るけどな。」


リボーンは眠る名無しさんをみながら話した。


「名無しさんは丸3日寝たこともあるんだぞ?」そう言って笑いながら・・・。




「昔から不眠症だから睡眠薬を使うか限界まで行って倒れるかでようやく睡眠を摂ってたんだ。・・・だが・・・・
安心したら何より安らかに眠れるみてぇだな・・・。」



雲雀は名無しさんのそんな対象になれた事が嬉しくて誇らしかった。





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車が門を抜け屋敷の前まで着くと見慣れた人物が出迎えた。



「恭弥!?なんでここに!!??」


先に帰っていたディーノは名無しさんを抱いて車から降りてきた雲雀に驚いた。



「すぐに帰るよ」



決して名無しさんを離さず素っ気無く雲雀は答えた。



ディーノとすれ違い様ボソッと雲雀は挑戦的に呟いた。



「やっぱり自分で守らなきゃ心配だしね・・・」



何も言い返せないディーノだった。






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屋敷に通されリボーンの案内により名無しさんの生活していた部屋についた。



「すぐには出発出来ねぇから一先ずベットに横にしてやれ。」



そう言ってリボーンは雲雀と眠る名無しさんを残して部屋を去った。



そっと名無しさんを腕からベットに写し雲雀はベットに腰を掛ける。



『・・フフ♪・・・』



夢を見ているのか名無しさんは擽ったそうに微笑むと気持ち良さそうにベットに体を静める。



・・・夢見てるのかなぁ・・・



そんな名無しさんを優しい眼差しで雲雀は見つめた。




「・・名無しさん・・・。また痩せたね・・・」




元々細い名無しさんだが今は不健康に痩せて見える。


ふと周るを見るとパソコンの周りに多くの書類やフロッピー、走り書きのメモが散乱している。




・・・ここで寝ずに仕事してたんだね・・・。




少しベットから離れて机の名無しさんの軌跡を辿る。


見ても分からないものばかりだが走り書きの一部にパスタのレシピを見つける。



[アボガドとサーモンのクリームパスタ 恭弥に・・]




・・クス・・・律儀な子だね・・・。




雲雀は少し恥ずかしいような、照れくさいような気持ちで笑ってしまう。





また書類に視線を落とす。


英語は熟知している雲雀は何枚かを判読する。




そちらに集中していた雲雀は突然の訪問者に驚いた。





「名無しさんっ!!無事か!!??」


「!!」





勢いよく扉を開けたのは背の高い短髪の好青年だった。





「・・・寝てるけど・・」



「Σ!;おっと;悪ぃ・・・・」





雲雀に言われてそーっと扉を閉めると心配そうに名無しさんの眠るベットに近づく。


雲雀は接触されるのはいい気持ちがしないので書類を置いて同じ様にベット脇の椅子に腰掛けた。





「・・・良かった・・♪寝てるだけだなぁ・・・」



名無しさんにケガがない事を確認すると同じ様にその男も椅子に腰掛けた。




「・・・お前が雲雀恭弥か?・・・オレはルーカ、ルーカ・フローレスだ。」








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雲雀は心底不機嫌な顔をした。

一方ルーカは人懐こい笑顔をしている。




「なんで知ってるの?」



「ん?名無しさんやリボーンに聞いたんだ。・・リボーンが今一番のトランキライザだってな。」



「トランキライザ?」



ルーカは流暢な日本語で話し続ける。



「ああ♪・・・日本語だと・・・安定剤だな!」


笑顔をゴリ押すようにルーカはニカッと笑った。



「こんなに安心した顔で寝てるのが何よりの証拠だな」とルーカは優しい眼差しで名無しさんを見た。



「・・・ねぇ、名無しさんを襲った奴はまだいるの?」



「ん?・・・うーん;・・・」





ルーカは困った様にポリポリ頬を掻いた。




やはり自分には言わない事に雲雀は苛立ちを覚えた。


雲雀より大人なルーカはその不服そうな表情を見て何かを感じ取り慌てて訂正する。



「別にお前を信用してないって訳じゃねぇぜ?・・・名無しさんが信用してる奴ならオレも信用するさ・・・。
ただな、名無しさんが言いたくねぇならオレが言っちゃダメだろ?・・・・」



名無しさんの性格を理解している二人は罵りあう事無く無言の空気が流れる。




「・・・お前は一般人なんだろ?なら一般論だがこれ以上関わらねぇのが懸命だ・・。」



「関係無いよ。・・・好きな子を守りたいっていうのも・・・普通でしょ?」



ルーカは素直に、しかし真剣な眼差しで答える雲雀に笑う。




「まぁな。・・・今のお前は歯がゆいんだろうな・・・。」



そう言って笑うルーカに雲雀は話の分かる奴だと少しずつ警戒を解いた。
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