並盛中学 文化祭

□恋する君たちへ
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[苦悩の始まり]


名無しさんが
『天気いいから屋上でお弁当食べよ♪』
と可愛らしい笑顔で言うので雲雀は快諾した。





いつの頃からか名無しさんは雲雀と自分のお弁当、2つを持ってくるようになった。








・・・本当に名無しさんって料理上手いよね・・・。






上達の陰に自分の母親も加担している事には目を瞑り、雲雀は今日も自分の為に作られたお弁当を大切に食べていた。




名無しさんはそっと隣から雲雀の様子を伺い、スムーズに箸が進んでいるのを見て小さく笑う。






「なに?」


『なんでもない♪』




照れ隠しに名無しさんが微笑むとつられて雲雀も笑ってしまう。




『このお漬物は弥生さんに分けてもらったの♪』



「ふーん・・・」






どうりで馴染み深い味だと思った・・・。


本当に仲がいいよね・・・;


いいんだけどさ・・・







『恭弥、お漬物好き?』


「うん」


『そっか・・。そのうちお漬物も自分で作れるように頑張るね♪』



「・・・名無しさん」






ひた向きに自分の為に努力を惜しまない名無しさんに雲雀は不意打ちでキュンとしてしまう。






『恭弥・・・?』



「・・・・」





チュ



不思議そうに雲雀に顔を向けた名無しさんだったが額にキスをされ少し恥かしそうにしてふにゃりと笑う。






「名無しさん・・・。今度の休み、どこ行きたい?」



『え・・?///・・・そうだな・・。』






雲雀と名無しさんは休みは予定の無い限り一緒に過ごすのが当たり前になっていた。



そしていつも雲雀は名無しさんの行きたい所、したい事を優先していた。







僕ばかりしてもらっちゃ男として格好付かないしね・・・







そんな事を思って、

例え名無しさんが花見に行きたいと行っても、

買い物に行きたいと行っても、

反対はしなかった。




・・・たまに後悔はしたが・・・;






悩んでお弁当の手を止めてしまった名無しさんは唸るように目を閉じる。




そんな様子を雲雀はやはり、
「可愛い・・」
と思ってしまう。




もう完全な親ばかである。











「委員長!」




屋上に声が響き、雲雀はあから様に嫌な顔をして扉を見る。



・・・邪魔・・

そうハッキリ目で語っていた。




しかしそんな雲雀の目に怯えながらもギュッと拳を握った風紀委員が立っていた。





「申し訳御座いません!委員長!!;しかし言いつけにあった要注意人物が居たもので・・;」



「・・・・。分かった」





要注意人物の言葉に首を傾げる名無しさんに雲雀は溜息を付いて名無しさんの髪をクシャっと撫でる。




「ごめんね・・。片付けてくるから考えておいてね」




そう言って雲雀は名残惜しげに屋上を後にした。



残った名無しさんは

『要注意人物って・・?;』

とまた首を傾げるのだった・・・


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