並盛中学 文化祭

□委員長の苦悩
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[草壁の報告日誌]


いつもの様に校内の見回りをしていた。


並盛の風紀を取り締まる。


それが俺の仕事で俺の崇拝する委員長のお役に立てる名誉ある仕事。




最近では委員長が気にされている沢田という生徒やそのクラスの連中が騒がしい。



しかし何より委員長が心配されているのは同じクラスの名無しさんさんだろう。


中学校といえば思春期真っ盛りの男女が青春を育む学び舎。




そんな中に突如編入してきたのが名無しさんさんだった。


転校生等の報告なども勿論委員長に報告する。



しかしケンカ沙汰以外はあまり興味を示さず
「ふーん」
と無機質な返答が返って来る事が多かった。
  


しかし名無しさんさんの編入の報告をした日は朝から機嫌が良さそうだった。





そしてしばらくして委員長は名無しさんさんの話ばかりするようになった。


しかし仕事は抜かりなく、更により研ぎ澄まされたものになった。




「名無しさんに何かあっては困るからね」


と小さく微笑んで話す委員長に驚いた。




名無しさんさんが来て委員長は変わった。


しかし俺はその変化は良いものだと思っている。


委員長はとても嬉しそうで幸せそうに見える。


名無しさんさんもいつも眩しい笑顔で・・・・




そんな二人をお助け出来るなら・・・俺はやはりこの仕事に誇りを持っているんだ。



「ん・・・・?」



感慨深く廊下を歩いていると渡り廊下で何やらコソコソ話していた男子生徒が自分に気付き慌てている。



経験上からこんな時は何かを隠していると分かる。



予想出来るのはゲーム機や漫画、お菓子、タバコ等だ。



「そこの君・・。今後ろに隠した物を出しなさい。」



並盛では学校に不必要な物を持ってきたらそく没収である。



厳しいようだがこれも清い青少年を守る為委員長がお決めになった事だ。


「「すみませんでしたぁ〜!!;」」



震えた手で隠したものを自分に差し出すと男子生徒達は慌てて逃げって行った。



「君!廊下を走らない!」



そう注意をして回収したものを見た。


アルバムだった。



中を見て溜息をつく。


委員長の気が休まらない訳だ・・・。




名無しさんさんの隠し撮りが横行している。


編入当初からその可憐な容姿に騒がれていたがとうとうこんな隠し撮りまで回り始めた。





確かに名無しさんさんは可愛い。

すごく可愛い!!



しかし委員長の大切なお方だ・・・。




写真は委員長に提出だな・・。


回収した物は本来は全て風紀委員で処理をしていた。

しかし今回のような名無しさんさんに関わるものだけは委員長に直接報告と提出が義務付けられるようになった。



それもお優しい委員長の名無しさんさんに対する気持ち・・。



あんな可愛らしい名無しさんさんを彼女に持ったら当然であろう・・。


委員長も気が気じゃないはずだ・・・。




全くけしからんな。


女性の隠し撮り等・・・。



しかし思いとは逆に勝手に動く俺の手・・。

次々に表情豊かに写る名無しさんさんの写真にどうしても目が離せず顔がにやけてしまう・・・。




本当に可愛らしい方だ・・・。


いけないとは思いつつページを捲り続けて俺は・・・固まってしまった。


そこにあったのはこれまで幾度も回収した隠し撮りとは異なる写真。









Σブハァー・・///



俺とした事が・・・鼻血・・;


そこには巷で一部の人間に愛されるというメイド服を着た・・・名無しさんさんだった。


にっこり天使のように微笑みピースまでしている。



いかん・・。


これは委員長に即刻報告せねば・・・。



俺は急いで委員長のいる応接室へ向かって走った。

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