黒曜中学 校歌第1番
□邂逅の兆し 上
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空は明るく機内は和やかな乗客の小さな話し声が聞こえる。
そんな中表情の暗い少年が一人・・・
「骸さーん;なんれオレらエコノミーで名無しさんと同じビジネスじゃないんれすか〜;」
「クフフ♪名無しさんはビジネスで行きますから。・・僕たちはその追っかけですからビジネスではないでしょう?」
「そうれすけど〜;」
「・・犬、名無しさんに内緒でついて行ってるんだから仕方ないよ・・・・」
「むぅ・・・・」
犬は名無しさんの側でなない事が不服なだけ・・・
骸も千種もその事は分かっている。
だって気持ちは一緒だから・・・
「日本とイタリアよりはマシです。これくらいの距離ならね♪」
鼻歌を歌いながらイヤホンを装着する骸に犬は椅子の上で膝を抱えて我慢するしかなかった。
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「お久しぶりです。リボーン様、名無しさん様。」
空港に着くなり名無しさん達を迎えたのは黒づくめの車と男。
ボンゴレからの使者である。
「出迎えご苦労だな。・・・世話になるぞ。」
『本当、ありがとう♪』
深々と頭を下げられ名無しさん、リボーン、シャマルは車に乗り込む。
向かうは9代目の待つボンゴレ本部。
少し離れた柱の後ろで少年3人は顔を見合わせる。
「さすがにボンゴレの所までは追えません・・・先にホテルを取りましょう♪」
「・・・はい・・」
「・・・・(ブスッ)」
膨れっ面の犬に骸は困ったように笑い犬の髪をくしゃっと撫でる。
「犬・・・、シチリアに沈めますよ♪」
「Σ・・・ぅ・・;」
ニッコリ笑顔で言った骸が本気な事はいやでも分かる。
渋々犬は頷くのだった。
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『おじいちゃん!!』
ボンゴレ本部の門をくぐり屋敷の前で車が停車すると杖を付いた老人が確認出来た。
名無しさんは子犬のように窓から目的の人を見つけるとはしゃぎ停車するなり急いでドアを開け駆け出した。
「名無しさん・・。元気そうだね。」
『うん♪』
しっかりと名無しさんを抱き留め9代目は優しく微笑む。
『おじいちゃん!あのね!・・』
「話はゆっくり聞くよ・・・。日本で色々あったみたいだね・・」
名無しさんがイタリアから日本に渡って約一ヶ月。
その間に記憶を取り戻し、旧友と新たな友人を得た名無しさんにとっては話したい事は山ほどある。
仲良く9代目と手を繋ぎながら屋敷内に入っていく名無しさんは笑顔で答えた。
『うん♪大切なものがいっぱい出来た♪』