黒曜中学 校歌第1番

□イタリアからの贈り物
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『じゃあ、私のことは名無しさんって呼んでね!!私もツナって呼ぶから♪』



ニコニコと頬杖を付きながら名無しさんは前の席のツナに微笑む。

クラクラするような微笑みに周囲も思わず笑みを零してしまう。




「俺も武でいいぜ。俺も名無しさんって呼びたいしな♪」


『分かった!ありがとっ♪』


(山本・・・顔真っ赤だよbyツナ)


「けっ。下心丸見えなんだよ。情けねぇ」



一人そっぽを向く獄寺を見て名無しさんはコソっとツナに耳打ちした。



(獄寺くんの下の名前ってなに?)

(?・・・♪あぁ、隼人くんだよ)



二人は何かイタズラを企む様に笑う。

「なんです?十代目?」

何か面白い話でもしていると思った獄寺はツナの隣の机に腰掛けた。



『・・・隼人?』

「ん?!!!!!ΣΣΣ」

呼びかけたのが名無しさんだと分かった瞬間に茹蛸のように獄寺は真っ赤。



「ば、」

『ば?』

「ば、ば、ばかやろう!!!呼んでんじゃねぇよ。誰も許可してねぇだろ」


怒鳴り散らす獄寺に名無しさんは一瞬ビックリしたように目を丸くしたがすぐに哀しそうな目をした・・・。



『ごめんね・・・。
そんなに嫌だと思わなくて・・・』


ごめんなさい・・・と名無しさんは顔を伏せてしまった。


「名無しさん、そんなに気にしなくてもいいぜ。
こいつはいつもこういう感情表現しか出来ないんだ」


フォローにならないケンカを売る山本。
いつもならすぐに反論する獄寺も見るからに落胆する名無しさんに正直焦ってしまう。


「い、いいじゃない。ね?獄寺くん?下の名前で呼んでもいいでしょ?」



同情したツナも名無しさんの肩を持つ。

しかし今の状況から抜けるには最もいいパスであった。


「・・・十代目がそう仰るなら・・・」

伏せていた顔を上げた名無しさんと目が合い顔を真っ赤にしながらまた怒鳴る。


「好きなように呼びやがれ!!」




『!!!♪ありがとう!!!』




その笑顔にクラスの半分以上が失神しかけた。



転校初日こうして名無しさんは運命的な仲間と顔を合わせたのだった。







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「名無しさんちゃん。ところでどこに住んでるの?」

校門付近で流れから一緒に下校する3人。山本は部活である。



『んっとねぇ・・・。』

そう言って鞄から小さな紙切れを出した。





『・・・ここみたい』

「?みたい??」

紙を受け取りながらツナは不思議な返答を返す。




『うん。まだ引っ越してきて家には帰ってないの。』


「じゃあよ。名無しさんは今日どこから登校してきたんだ?」

自然に名無しさんと呼ぶ獄寺に名無しさんは嬉しそうに笑顔を向ける。



『空港!』

「「空港!?」」
ハモった。




「名無しさんちゃん。前はどこに住んでたの?」


『ん?イタリアだよ?
間に合うように向こうから発ったの♪』


「イタリアかよ。」


「親の転勤とか?」

何気ないツナの質問に名無しさんは一瞬目を開き哀しそうに笑う。


『実はね[ピリリリリ]』

名無しさんの言葉は突然の電子音で途切れた。




「はい。・・リ、リボーンさん。はい、え!?はい・・・」

「リボーンからなんだ・・・ん?どうかした?名無しさんちゃん?」


『リボーン?リボーンって隼人の知り合い?』

リボーンと聞こえた隼人の言葉に名無しさんは驚いた。



「知り合いって言うか・・・うちのなんだよね・・・。(赤ん坊が家庭教師なんて恥ずかしくて言えない・・・)」


『・・・そう言えばさっきから
10代目って・・・・もしかしてツナがボンゴレ10代目!?』

「な、なんで知ってるの!?」


二人共驚きの余り口をパクパクさせている。

いつのまにか電話を切り終えた獄寺がツナに近づく。



「あの10代目・・・。リボーンさんが名無しさんを連れて10代目の家に来いって・・・。」


「なにーーー!!!???」





3人はパニックのまま沢田家へと急いだ。





窓からその様子を風紀委員長様が見ていたことには気付いていなかった・・・。
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