並盛中学 校歌第1番

□涙 前編
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[彼氏の義務]



「なんだなんだ!?・・・こりゃ珍しい客だな・・;」



「・・・・」




朝の始業ベルが鳴ったかと思えば保健室のドアが開いたのでシャマルは溜息を付いた。




朝から怪我人かぁ・・?;





しかし保健室に入ってきたのは怪我もしておらず、顔色も悪くない男子生徒。





「あなたに聞きたい事があるんだ・・」



「?・・・まぁ座れ。」




そう。

朝から保健室を訪れたのは雲雀恭弥だった。



いつもの様にベストを来た並盛の制服の上から風紀委員の学ランを羽織っている。





「お前さんがここに来るなんて初めてじゃねぇか?」



「僕は怪我なんてしないからね」



「俺も男は診ねぇよ・・。」





湯気の立つコーヒーカップを雲雀の前に置くとシャマルは自分のカップに口を付けた。










しばしの沈黙が流れ静かに雲雀が口を開いた。




「名無しさんの体はセックスに耐えれるの?」





「ΣΣブふゥゥーーーー!!!」






いきなりの雲雀の質問にシャマルは含んだばかりのコーヒーを噴き出す。



雲雀は怪訝な顔をしてそれを避けた。








「お前って澄ました顔して・・・なかなかムッツリだな;」



「意味が分からないよ・・・」






シラッと返した雲雀にシャマルはコーヒーを置き呼吸を落ち着けた。





「お前らがそういう関係だってのはリボーンに聞いてたし、そりゃ名無しさん見てたら分かるが・・・;こう来るとはなぁ;」



雲雀が名無しさんを気に入ってるのも知っていたし名無しさんもそう思っているのはさすがに気付く。



しかしそこまで進展しているとは思っていなかった。






「・・・僕は名無しさんを抱きたいんだ。でも体に負担がかかるなら僕は・・・・・抱けない」




真剣に話す雲雀にシャマルはたかが中学生に雲雀に感心していた。







どうやら本気みたいだな・・・。






ふうっと息を付くとシャマルはすっと真面目な顔をした。




それは医師としての彼の姿勢の様に真面目で頼れる顔だった。





「名無しさんが小さい頃に手術を受けてるのは知ってるな?」



雲雀は黙って頷く。



「先天性の心臓病でな。遺伝子異常だと考えられている。・・・その手術で名無しさんは心臓の一部を切り取ってるんだ。」



「・・・」



「難しい手術だったが名無しさんと初めて会った時にはその手術は成功していた。でもその病気の為に血栓が生じやすくて今でも薬を飲み続けてる。・・・ようは予防だ。大きな事にならない為のな。」








想像を遥かに超えたシャマルの話に雲雀は少し驚いていた。


そんな重いリスクを背負いながらいつも笑顔を見せる名無しさんに胸が痛くなる。






「・・・お前が真剣なんだったら俺も名無しさんの主治医として真剣に答えるさ。・・・しかしセックスは反対だ。」




「・・・やっぱり名無しさんの体には無理なんだね」









それでも名無しさんが好き・・・


雲雀の気持ちは変わらない。





「いや・・。」


「・・・え?・・」





「言ったろ?手術は成功してるって。ただ・・・」



シャマルはカッと目を見開くと言った。





「俺が嫌だ!!!名無しさんが他の男の色に染まるなんてーーー!!!」



少し覚悟を砕かれて雲雀はむっとしてからトンファーを取り出した。



「・・・咬み殺すよ・・」



「Σグハッ・・;・・・クッソー;」








トンファーを当てられシャマルは顎を擦りながらやっと改めてコーヒーを口にした。



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[恭弥side]



「どっちかって言うと体力的な事よりストレスがよくねぇ。」




シャマルにずっと聞きたかった名無しさんの抱える病気を聞いた。


大きな手術をしたんだね・・・




「それで?・・・本題だけど・・」




「;・・・大丈夫だよ・・!手術をしてから大きな発作は起してねぇし今までの検査でも心臓の拡張は見られない・・・。」





「・・・そう・・♪」







欲しかった答えについ顔が緩む。


例え答えが違っても名無しさんに対する気持ちは変わらないし、我慢する自信だってあった。



でも、

出来る事なら抱きたい。

今すぐにでも・・・




すべてを僕のものにしたい・・・









「ねぇ・・。名無しさんの体調で気をつけないといけない事ってある?」




「あぁ・・;あいつは自分では言わねぇからな・・。」



そう言った彼も苦笑いする。


赤ん坊でさえ名無しさんのその悪い癖には困ってた。





「動悸や息切れが酷い状態で長く続くと悪いな・・。あとは寝てるときに呼吸困難を起しやすい。名無しさんの場合これは感受性ストレスが高いと出やすいみたいだな。」





「・・・」






シャマルの話す言葉を一言一句聞き逃さないように暗証する。



名無しさんを守るって決めた僕には貴重な情報。




名無しさんを見ていなきゃ・・・。


これは何かな・・?


使命感みたいな・・

命を掛けて君を守りたい・・・





君を守る為にどうしても君の体の事を知らなくてはいけなかった。


少しずるいけどね・・・。


名無しさんはなかなか答えないから。







「・・・礼を言うよ」



そう言って保健室から出た。


この僕が礼だって・・・。


自分でも笑える。

でも名無しさんが今まで元気に生活出来たのは真面目な医師としての彼のお陰でもあるからね。





「委員長ー!こちらにいらっしゃったんですね!」



「草壁・・?」



保健室を出てすぐに声を掛けられた。



どうやら僕を探していた草壁を見ても僕はまだ機嫌がいいままだ・・。




「ご報告があります!!」



「分かった」






今日、抱いてもいいかな・・♪




心の中でそんな事を考えていた僕だったけど草壁の報告で事態は変わった。











ワォ・・・

そんな話聞いてないよ・・・






「・・・・どういう事?」


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