黒曜中学 校歌第2番
□パーティー
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「♪ただいま戻りました!」
今日は名無しさんが骸達の家に遊びに来るというのでいそいそとケーキなんか買って来た骸。
おや、返事がない。
でも玄関には見慣れた靴に混じってキチンと揃えられた女の子の靴があり・・・。
・・・
犬の部屋から何やら楽しげな声が聞こえますね・・・。
はぁ;・・・
だれも僕の帰宅に気付いてないんですね・・・
少し悲しいっと思いながらも早くその楽しげな声に混じりたくて骸は足早に犬の部屋に急いだ。
コンコン
ノックをしてからドアを開けると名無しさん達の声が聞こえた。
「名無しさん♪」
しかし・・・
『犬ちゃん!早くあげなさい!!!』
「らっておれも一個しかないびょん!!!」
「・・・犬、早く・・。死ぬから。」
ドアを開けた骸に気付かず名無しさん達はテレビ画面に釘付けだった。
・・・・・
むっとした骸はおもむろに力を使った。
その右目は[一]
「「『ぅわっ!!!』」」
名無しさん達の目の前が急に闇に包まれる。
そしてすっと能力を解くとようやく骸の存在に気付く一同。
『あ!おかえり♪骸!・・もうびっくりしたぁーーー』
「・・・骸様・・・やめて下さい。」
「ちょ、骸さん!!死だらろうしてくれるんれすかっ!!!」
怒る犬にまだむっとしたままの骸。
しかし折角名無しさんが遊びに来ているのだ。
我慢して笑みを浮かべる。
「名無しさん、ケーキ買って来ましたよっ!!」
『♪本当に!!ありがとうっ!!!』
「・・・犬にはあげません・・・。」
「Σえっ!?なんれれすかっっ!!!」
嘆く犬をほッぽって骸は名無しさんの隣に座り込みながら聞いた。
(無理やり犬と名無しさんの間に離入る・・・)
「一体何に夢中になっていたんですか?」
『ん?これ?へへっ!!今すごく人気で手に入らないんだよ!!このゲーム!!!』
自慢げに名無しさんはゲームのケースを骸に見せた。
所謂RPG。
『私すごーくやってみたくて、犬ちゃんもしたがってたから隼人に借りたのっ!!』
「・・・名無しさん。どんどんゲージが・・・。」
『ああ、そうだった!!』
そう言って再び画面に夢中になる3人に溜息を付きながら骸も一緒に画面を見た。
・・・名無しさんに構って欲しいですけど・・・
こんなに楽しそうなのに止めさせるのも酷ですしね・・・
画面の中ではキャラクターがモンスターに挑んでいた。
コントローラー二つを名無しさんと犬が持ち千種が口で参加している。
たまに操作が厄介だと交代しているようだ。
「おや?・・・」
骸は不思議な事に気付いた。
名無しさんが動かしているキャラクターは大きな剣を振りかざしている主人公らしき少年。
そして名前の所には名無しさんと表記されている。
どうやらパーティーのキャラクターにそれぞれの名前を付けたようだ。
しかしなんでまた・・・。
「名無しさんがなんで剣士なんですか?」
『チーちゃんとキャラクターが被ったからじゃんけんして決めたの♪』
むすっとした千種は色気たっぷりの女魔法使い。
・・・こっちが名無しさんのほうがいいのに・・・。
そして今攻撃をしたのは犬。
犬は・・・ああ、ぴったりですね。
犬の名前が付いていたのは体力勝負の獣人であった。
他にも見慣れた名前が付いていた。
後方支援をしている青年は隼人。
剣は剣でも二刀流の青年に武。
回復魔法を使う少年にツナ。
犬達が彼らの名前を付けるとは思えない。
・・・名無しさんにごり押しされたんですね・・・。
「名無しさん・・・。どうしてその老人はアルコバレーノの名前が?」
『だってこのパーティーの軍師だもん♪もうリボちゃんしかいないじゃん!!』
リボーンと名付けられた老師が杖を掲げるとみんなのHPが回復していく。
あ、・・・
お色気魔法使いの千種だけMISSという字が浮かぶ。
「名無しさん・・。もう体力無くなる・・・。」
『あぁ!!!チーちゃん死んじゃったら経験値にまた差が出ちゃう!!!犬ちゃんの毒消しあげてってば!!』
「嫌らっ!!」
「犬、使わないでしょ?・・・」
「いつかいるかもしんないびょん!」
『大丈夫!犬ちゃんは毒回避50%のブレスレットしてるから♪』
「Σ!名無しさんっ!!!それあと50%は無事じゃないびょん!!」
『その時はその時っ!はいっちチーちゃん!!』
そう言って犬からコントローラーを奪うとさっと千種に渡す。
素早く千種が犬のアイテムから毒消しを女魔法使いに使う。
「あああ!!!!」