屋上

□遊惰
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小さく震えた指先が。
キツく噛みしめた唇。
今にも泣き出しそうに潤んだ瞳が。
黙したままで語っていた。




怖い。
朝と夜を繰り返すことが。

怖い。
目が覚めて、思考が動き出すことが。

怖い。
今日もまた、生存することが。

怖い。
明日という未来の存在が。

怖い。
全てが当たり前のように流れていく、その事実が。



怖いのだと。
その一つ一つが。

当たり前のことを当たり前のように受け入れられない自身と、10年後も20年後も付き合い続けていくということが。

「………じゃ、」

ポイ、と。
手に持っていた煙草を投げ捨てて立ち上がる。
青い空が、今日も広がっていた。



「行こうか」



行こう。
全てを終わらせに。
ここから逃げ出すために。









君の望みを叶えるために。










どこかで、誰かが笑った気がした。


それは僕に微笑んでいるのか、それとも見下して嘲笑っているのか。
それさえきっとどうでもよくて。

そんな自分に、軽く自嘲。



青く高い空は…それでもただ、そこにあるばかりだった。







 



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