屋上

□哀願
3ページ/3ページ




苦しいです。

助けて欲しいです。

救って欲しいです。

休みが欲しいんです。

周りが見えないんです。

世界が見えないんです。



光がどこにも見えません。











“救い”は、
どんな形をしているの?









「今はね、多分…怖いの」





見捨てられる事が。
呆れられる事が。
溜め息を吐かれる事が。





「怖い?」

「………うん」




頑張らない私は“いらない”なんて言われたら?
頑張れない私を“出来損ない”だと思われたら?





「苦しい、なんて…言えないよ」


私にはこれしかない。
他に何もない。
何も知らない。

空っぽだ。























神よ、神よ、

どうか私を見捨てないで。




「紗耶香にとっての神様は母親なんだな」




精一杯の哀願。



「…そうだね、きっと」






その末にやってきた“救い”は、
どんな形をしていた?











「……じゃあさ、」


淡々とした声。



「見捨てられるのと、縋ってしがみつき続けるのと」



その声はまるで、



「どっちが怖い?」



神の声のようでもあった。








「…………」


 


意味ありげに笑った雅人の声に答えられなかったのは、きっとわかりきった答えを口にする勇気がなかったから。

どっちが楽かなんて、考えるまでもなく決まっている。





もしかしたらこの時、
私の“神”は

既に母親じゃなくなっていたのかもしれない。




「…………」







入れ替わりに交代した神は、

無表情で残酷な……













to be next...
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ