屋上

□絶望
2ページ/5ページ




ふと自分の左手に目をやれば、上品なシャツの長袖から覗く手首に、無数の傷。

逃げるようにカッターを滑らせた手首の傷は、もうかなりの数になっていた。







ピリピリピリ。

破いたノートを半分に、また半分にと細かくちぎる。






「死にたいよ…私だって……」



“死ね”と書くぐらいなら殺して欲しい。

私みたいのが生きてる意味なんてどこにもないじゃないか。


そう思いながら、ピリピリと破いた紙切れを風に乗せる。

ゴミが増えるな。


ああ、私なんかは本当に生きているだけで迷惑な存在だ。





飛び降り?
飛び込み?
それとも首吊り?

いっそ一瞬で楽になりたい。



薬は苦しい?
練炭は?
硫化水素に一酸化炭素。

方法ならいくらだってある。





馬鹿げていると思いつつも、私はつらつらと自殺方法を考えていた。

どうせ死ぬなら、せめて誰にも迷惑かけないように死にたい。
無理な話かな。

死体を片づける人にとっては何にせよ迷惑な存在だし。






あぁ、
それならいっそ。

誰かが笑ってくれないかな。
私が死んで。
喜んでくれる人はいませんか?





「………」




本当に馬鹿みたいな考えだ。

ドナー登録でもするか?








「……くだらない」



















どうしたら良いでしょう?

お母さん。
私はもう疲れました。
疲れすぎて死ぬ気にもなれません。



考えれば考えるほど自分が害悪にしか思われません。

世界中から責められているようです。







 
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ