屋上

□閉塞
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吸い終わったタバコを、ポイと適当な場所に投げ捨てる。



微かに上る灰色の煙が、重苦しい灰色の空に馴染んで消えた。


吸い終わったタバコと同じ。
都も、祐司も。

使えなくなれば、棄てられて空に溶けるだけだ。


僕に“執着”なんてない。


物にも、人にも。



「…………」


口の端が微かに上がる。



愉しいね。

壊れた思想は。
狂った人間は。
酷く懐かしい。


だから僕は2人といるんだ。




何より質が悪いのは、
きっと利害が一致している事。





『何も見たくない』

『何も聞きたくない』

『ココから1歩も出たくない』





どうぞしたい事を、お好きなように?


「…いくらだって、手を貸すよ」


目を塞いで。
耳を塞いで。
その世界から抜け出せないよう。



ただ流れていくだけの、ウンザリする程くだらない日常に…興味を与えてくれるなら。



「壊れるまで、ね」




水に溶けた絵の具のように、確実に黒くなっていく空を眺めながら…
今日で何本目か分からないタバコに火をつけた。

煙が上がる。






どこかで、少女が笑った気がした。















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