屋上
□開始
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青く澄んだ空に、白い煙が二本上がる。
「それにしても、気づかれないもんだよね。この中学生活三年間、二人とも毎日のように屋上で煙草吸ってたのにさ」
「わざわざ屋上の鍵壊したお前が言う台詞じゃねぇな」
「なによぉ」
ぷくぅ、と頬を膨らませた都を見て、祐司が笑った。
「はは、感謝してるって。屋上なんか大体鍵かかってるし、助かった」
「…本当に?」
「ホントホント」
屋上という広い空間で、僕らは中学生活の大半を過ごした。
空を見上げて。
取り留めのない話をして。
現実から逃げるように。
「それにしても、何かちょっと…離れがたいよな」
祐司が言った。
「……私…卒業なんかしたくないよ」
「都ぉ。卒業式当日にナニ言ってんの?」
本気で寂しそうに呟いた都に、祐司が呆れた顔をする。
当然と言えば、当然だろう。
だけどそれが都だ。
成長を嫌い、少しの変化も拒絶する。
「どう思うよ?雅人」
「別に」