屋上

□暗雲
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side 祐司







曇り空の薄暗い天候。
午後からは雨が降るらしい。

俺は気圧に弱いのか、いつも雨の前には必ず頭が痛くなる。

前にそれを雅人に話したら、雅人は常に頭痛がしていると言った。
どうやら寝すぎらしい。
羨ましい限りだ。




『寝過ぎの頭痛はそう悪くないぞ』




なんとなく雅人の呟いた言葉を思い出す。


常に寝ているか煙草を吸っているかのアイツは、今ここにいない。
きっと教室で寝ているか自宅で煙草を吸っているかのどちらかだろう。

学校だって意欲的に来ている訳じゃない。
かと言って何かをしている訳でもなく。



雅人は変わらない。





目を閉じると、いっそう頭痛が酷くなったような気がした。
この分だと昼前にもう降り出しそうだ。



「ふぁ…」



バカみたいに力の抜けた欠伸がでる。


夜眠らないから昼は常に眠いのだ。










 



「あー…」




だから独りは嫌なんだ。
こんな時に都は一体何をしているのだろう。



どうせ教室か家でぬいぐるみにでも話しかけているのだろうが。

今この状態でそんな都を想像しても苛つきが増すばかりだった。







言葉にならない。

心に穴があいているような。




ただ息苦しい。


こんな発作を、どう表現すればいい?




一人きりの夜
目を瞑って、

どうやって眠るんだっけ?




『寝過ぎの頭痛はそう悪くないぞ』





体験してみたいもんだ。
そんな頭痛を。





ポツ、と。
頬に冷たい雫が落ちた。




「降ってきたか」




“怖い”なんて、

バカバカし過ぎて口にも出せないけど。


それでも一人は辛いから。
だからきっとここにいるんだ。


この先一人で生きる事なんて考えたくもない。
だからと言って他人とお綺麗な上っ面造って過ごすなんて吐き気がする。

けれど雅人や都がこの先ずっと自分の隣にいるなんて思えない。



先の事なんて、考えれば考えるほど怖くなる一方だ。





ポツポツと雨足が強くなっていくのを感じたが、俺は動くことができなかった。

 
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