脳内風景

□夢幻
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あの頃の君は、
本当に弱くて儚くて、
僕がほんの少し触れただけでも壊れてしまう程に…
脆かったのだと思う。
でも僕は
それに気付かなかった。
触れられるだけでたやすく崩れてしまいそうな君の心は、
沢山の傷がつきすぎて、
[痛み]にすら気がつかないほど、
麻痺してしまっていたのだから。
もしかしたら、
君は気づいていたのかもしれない。
ただ
気づかない振りでもしなければ
自分を支えられない程に
追いつめられていたのかもしれない。
それが、
君を蝕み、
壊す原因の一つになっていたという事に
君は気付けなかったんだ。
そして僕も
気づかなかった。
それはとても大切な事だったのに、

気付けなかったんだ。


 
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