脳内風景
□電車
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「訳もなく飛びたくなったら、線路の上へドウゾ?」
二時間に一本くらいしか来ない田舎の電車。
それを待っているのは僕と、隣にいるこいつだけ。
人気のないホーム。
駅員すらいやしない。
僕は言った。
「飛ばないよ。積極的に生きたいとも思わないけど、別に死にたいとも思ってないし」
「へぇ?」
そいつは方眉をつり上げて僕に言った。
挑発的な目だ。
「それって、生きながらにして死んでるね」
───カタンカタン
人のいない静かなホームは、遠くから近づいてくる電車の音もよく響く。
「………そうかもね」