脳内風景

□カノジョ
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 『ねぇ…死んで?』

 
 君は気づかなかった?
 僕が本当に君の死を望んでいると思ったのかい?
 あの言葉は、君に言った訳じゃなかったんだよ?
 あの言葉は…
 僕に向かって言ったんだ。

 ―僕ハ死ンデシマイタカッタ―


 黒く膨れ上がる煙が、君を天へと運んでいく。

 「さようなら」

 僕は小さく呟いた。
 死んでしまいたかったのは僕だったのに…。
 君はいつでもそうなんだね?

 青空を汚す黒い煙を、僕は嫉妬と羨望の入り交じった気持ちで見つめていた。





end
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