危険小説(裏)

□CHICKIN CHASER
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『CHICKEN CHASER』

「待てよっ!」
「い〜やぁだ!」
放課後のことだ。
「何で逃げんだよ!」
「だって何かリュータ怖ぇもん」
ちっ…こういう時だけ敏感なんだな…。
もうほとんど人の残っていない校舎内で俺はサイバーを追い掛け回している。
サイバーは走って本気で逃げるのだが、俺は走るとかガキくさいことはしたくないのでのんびりはや歩きで…。
いい加減疲れた。
走ってはいないがじれったさに疲れる。
「サイバー!何もしやしねぇよ!」
うそだけど。
「やぁだ!まずその手提げが怪しいんだよ!俺に何かするきだな!?」
アホ面に見えて結構鋭いな…今日は。
そうだよ、ちょっとやりたいことが…
「はぁ?」
「とぼけんな!俺はヒーローだぜ?下心ぐらいすぐ分かるんだよ!」
相変わらず上手い具合にふざけたヤローだ。
「例えば?」
「俺様に変なコスプレさせるとかっ///」
半分当たり…?
「違ぇって…」
「違ってもロクなことじゃないだろ!」
サイバーは近づいてくる俺から走って少し逃げては振り返り、反抗してくる。
はぁ…いい加減にしろって。
「諦める気ねぇぞ?俺は。じゃあ力づくでやめさせてみろよ」
睨みつけて言ってやるとサイバーはひるんだような目を見せる。
「え…?やだよ…」
そりゃな、サイバーに勝ち目なんてあるはずない。
「じゃ大人しくしろ。殴るぞ?」
サイバーは拳によわかった。
少し暴力をちらつかせるとすぐにビビる。
「うぅ…何するか教えてよ…」
「お楽しみだって」
誰もいない廊下。
後ずさるサイバーを俺は追い詰めていく。
「やだぁ!」
「だから、かかってこいっつうんだよザコ!」
「ザコじゃねぇもん!」
「俺が怖ぇんだろ?勝目ねぇしさ」
「暴力は卑怯だぞリュータ!」
「俺は本気だぜ?わけわかんないことされたくなかったら力づくで俺から逃げてみろっつんだよ。チキン野郎!」
「リュータ古いぞ…その悪口…」
ふざけやがって…
「うるせぇ!」
びくっと肩を跳ねさせたサイバーの背中がついに廊下の行き止まりについた。
追い詰めた…。
俺はゆっくりとサイバーに詰め寄っていく。
「やめろ…来るな!」
「なぁ?サイバー…大丈夫だからっ」
間近に迫るとサイバーはきゅっと目を瞑って俺から目をそらした。
183cmある俺に対してサイバーはそのマイナス15cm。
迫ってやるだけでも十分怖がって動けなくなる。
「やだぁ…来るな…」
俺は手提げを持ってない方の手を自分のポケットにしのばせる。
「大丈夫…ちょっとヤりたいだけだから」
「は?」
サイバーは少し顔を上げて俺を上目遣いで見上げた。
あぁもう誘ってんのかてめぇは!
「Hしよ?」
「な、何言ってんだよ!変態!誰かぁ!!」
そう叫んで俺から逃れようとするサイバーの体に素早く手を回し、ポケットから取り出したハンカチを口に押し付けた。
「ん!?」
「悪い子…」
薬品のしみこんだハンカチの前にサイバーはあっさり意識を手放してしまった。
「お仕置きな…」
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