零崎楽識の人間美学

□零崎楽識の人間美学
1ページ/1ページ








私たち人間とこの世界は、常に<神の悪夢>によって常に脅かされている。








神は実在する。




全ての人間の意識の遙か奥、集合無意識の海の深みに、神は確かに存在している。





この概念上<神>と呼ばれるものに最も近い絶対的存在は、私たち人間の意識の遙か奥底で有史以来ずっと眠り続けている。眠っているから私たち人間には全くの無関心で、それゆえ無慈悲で公平だ。















ある時、神は悪夢を見た。




神は全知なので、この世に存在するあるあらゆる恐怖を一度に夢に見てしまった。

そして神は全能なので、眠りの邪魔になる、この人間の小さな意識では見ることすらできないほどの巨大な悪夢を、切り離して捨ててしまった。







捨てられた悪夢は集合無意識の海の底から泡となって、いくつもの小さな泡に分かれながら、上へ上へと浮かび上がっていった。




上へ―――私たちの、意識へ向かって。







私たちの意識へと浮かび上がった<神の泡>は、その『全知』と称される普遍性ゆえに私たちの意識に溶け出して、個人の抱える固有の恐怖と混じりあう。




そしてその<神の泡>が私たちの意識よりも大きかった時、悪夢は器を溢れて現実へと漏れだすのだ。




























かくして神の悪夢と混じりあった私たちの悪夢は、現実のモノとなる。


















(神サマなんて戯言)

 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ