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□立ち止まってしまった人へ
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ホームルームが終わり、帰る支度をしている時に、カホに今日は一緒に帰れないと言われた、どうやら委員会があるらしい

「わかった」
「ごめんね、真砂」
「ううん、しょうがないし。じゃあまた明日ね」
「ありがと、明日ね」

そう言ってカホと別れて帰る為に歩いていれば校門に見なれた人物が居た

「………………」
「………………」
「……どうしたんですか、陸さん。誰か待ってるんですか?」
「…誰かって、お前を待ってたんだよ」
「……なんで?」
「……なんとなく」
「はぁ…」
「ま、兎に角こんな所で話しててもな、公園にでも行くか」

公園は学校に近からず遠からずの位置にあり、約10分ほど歩いた所にある
公園に着くまでは終始無言、別に気まずい訳でもないけどなんかなぁ…

公園に着くなり今度はベンチに座る陸さん、どうすれば良いか迷っていたら陸さんの隣をトントン、と叩かれた、どうやらそこに座れと言うことらしい

「………く」
「お前さ」

沈黙に耐えきれなくなり名前を呼ぼうとすれば、いきなり話しかけられた

「…はい?」
「あいつ…黒馬と付き合ってんのか?」
「え…まあ、一応」
「……ふーん」

そう言ったっきりまた何も話さなくなってしまった、本当に、一体なんなのだろう

「あの、話しは…?」
「それだけ」
「そ、そうですか」

これだけのために校門で待ってたんだ、他校の制服だし、陸さんは有名だから視線が痛かっただろうに

「あの、陸さん…」
「……なんだ」
「少しだけ、話聞いてくれますか?」
「…なんのだ」
「私の、心の中でずっと溶けない塊があるんです、他の人に話すと心配かけちゃいそうで…」

しばらく沈黙が続いて、隣から溜め息が聞こえたかと思うと了承の言葉が帰ってきた

「ありがとうございます」
「………………」
「……私、心配なんです」

みんな、進んでしまうから、未来へ
お兄ちゃんは、お兄ちゃんの時間はもうあの時から決して動くことはないのに、みんなは、私は生きてる限り、未来へ歩き出さなきゃいけなくて立ち止まることは、ほんの少しの間しか許されなくてなのに、お兄ちゃんがそこに居なくて何時だってみんなの中心いたお兄ちゃんだったから、みんなの幸せを祈ってる人だったから、恨むなんてことはしないだろうけど、でも
「寂しいんじゃ、ないかって…」
「…………………」
「一緒に何かを感じることができないことは、とても、寂しいと思うから」
「…………………」
「…………………」
「……司朗は」
「…………」
「司郎は、お前が楽しそうだったら、満足だろ」
「…………」
「お前が、幸せそうにしてたら、それで」
「陸さん…」
「お前がそんなんでどうすんだよ、お前が幸せじゃなきゃ、司朗は幸せじゃないんだよ」
「……っ…ふ…うっ」
「生きてた時も、そうだっただろうが、何時だって変わんねぇよ、司朗は」

『お前が一番大切なんだ』

泣いて何も言えなくなった私の頭を陸さんは私が泣き止むまで撫でてくれてた立ち止まってしまった人へ
(お兄ちゃん、私、幸せになるから)
(だから安心してね)






END.
 

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