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□プレゼントは君
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遅い、いくら何でも遅すぎる
確かに考えろとは言ったけど、限度ってものがあるでしょ
どうすんのよ、もう当日よ、なんの準備もしてないわよ、なのに未だに何もなしって、おかしいんじゃないの、ねえ
知らないわよ、用意できなくなるわよ、別に私はそれでもいいけど、あんた欲しいんじゃないの

「はい、黒川」
「……なに?」
「今日誕生日だろ?」
「そうだけど」
「うん、だからプレゼント」
「は?なんで」
「なんでって俺があげたかったから?」
「意味わかんない」
「いいから貰っとけって」
「いいわよ、別に………て、ちょっと」
「いいから、いいから」
「全く……あんた誕生日4日後だったわよね?」
「そうだぜ、黒川よく知ってんな」
「まあね、あんた、何が欲しいの?」
「え、いいよ別に」
「私が嫌なのよ」
「うーん、浮かばねー」
「…じゃあ考えて言ってよ、高いのは駄目だからね」
「おう!わかった」

そんな会話が交わされたのは私の誕生日、私の誕生日は4月20日、山本の誕生日は4月24日、そして今日は私の誕生日から4日目、そうつまりは山本の誕生日
なのに、なのによ?
未だに何も言ってこないってどういうこと、私あんたがプレゼントを言うまで準備する気なかったから何もないわよ、ねえ
昨日も聞いたけど【まだ考え中】って、長いわよ、普通遅くても前日には無理やりにでも欲しいもの作ってるでしょ、なにもいらないの、そういうことなの、だったら言いなさいよ全く

「花、どうかした?」
「京子、なんでもないわよ」
「本当に?」
「本当に」
「なら、良かった」

花、ずっと眉間にシワ寄せてるんだもん、心配しちゃった。そう言って微笑む親友を前に、苦笑いしながら、山本のせいだ、京子にまで心配かけちゃったじゃない、と心の中で悪態をついた

現在は午後三時半、もう学校も終わって京子と一緒に家に帰ってる
そう、つまりあいつは、山本は今日1日待ってやったのに、プレゼントのプの字も見せずに1日を過ごしやがったのだ

「じゃあね、京子」
「うん、じゃあね花」

京子と別れて自分の家へ向かう道を歩いていたら、いきなり後ろから呼び止められた

「黒川!」
「山本…?」
「おう」
「なんか用?」
「あのさプレゼントのこと何だけど」
「ああ、あれなら」

遅いから無効にしたわよ、そう口にする前に何か強い力のせいで私はバランスを崩した
気がつけば私の視界には山本が居なくなっていて、というより何も見えなくなっていて、何だろうと思って体を動かそうとすれば何かに捕まっていたらしく動かない、ああ、そっか山本に捕まっているのか、と何気なく考えてから何で?という疑問が浮かんできた

「ちょ、何よ山本」
「動くなって、それでさプレゼントなんだけど」
「ああ、なに」

次の瞬間に私の顔が怒りと羞恥で真っ赤になったのは仕方がなかったと思う


プレゼントは君
(あんた馬鹿じゃないの!?)
(え、なんで?)
(少しは羞恥心ってものを持ちなさいよ!!)



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