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□本番は明日の放課後
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考えてみれば、自分はあいつの好みとか、趣味とかを知らなくて、こういう時にそれに気がついて、少し悔しくなったりする

明日は、黒川の誕生日で俺は柄にもなくプレゼントを買おうと女が良く行きそうなショップなんかに来てしまっていたりする、マジで恥ずかしい
本当はプレゼントを渡すつもりなんてなかったけど、十代目が誕生日の時にプレゼントを渡してみたら、ヒドく嬉しそうにしていたのをふと思い出して、黒川もやれば喜ぶのかと思って、こんな所まで来てしまった

来てみたは良いけど、俺は黒川の趣味がわからない、色々手を出したりしてるみたいだけど、黒川が何かに本当に入れ込んだりしてるのを見た記憶がなくて、必死に品物をみては、イメージの中の黒川と照らし合わせて、でもそれを貰って喜ぶ黒川が思い浮かばなくて、他のものに視線を移して

「糞、わかんねえ」
「何かお探しですか?」
「……まあ」
「彼女さんへのプレゼントとかですか?」
「彼女じゃ、ないです」
「そうですか、ではこちらなんかどうでしょう」

いつの間にか近くに来てた店員に話しかけられる、どうやら俺がプレゼントを渡す奴と店員のイメージが違うらしく、なかなかしっくりこない

「どんな方にお渡しになるんですか?」
「え?」
「例えば可愛い感じとか、格好いいとか、綺麗とか」
「……綺麗、で格好いい」
「でしたら、これなんかどうですか、控えめのブレスレットですけど、ご本人がお綺麗ならお似合いになると思いますよ?」

店員が出してきたのは、蝶と花と草の組み合わせのシルバーアクセサリーだった
これなら、邪魔にはなんねえし、黒川にも似合いそうだな

「じゃあ、それで」
「ありがとうございます」

ブレスレットの入った、綺麗にラッピングされた袋を鞄に入れて店をでた


本番は明日の放課後
(プレゼントを渡せば少し驚いた顔して)
(珍しく頬を染めて微笑む君がいた)



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